労災で妻亡くした夫 遺族補償年金不支給 男女差別で違憲と提訴

労災で家族を亡くした人に支給される遺族補償年金について、残された家族が妻の場合は年齢制限がないのに、夫の場合は54歳以下だと支給を受けられないのは不当な差別で憲法違反だとして、妻を亡くした男性が国に処分の取り消しを求める訴えを起こしました。

東京地方裁判所に訴えを起こしたのは、5年前に団体職員だった妻を亡くした、東京都の54歳の男性です。

妻は長時間労働などが原因だったとして労災に認定されましたが、男性が国に遺族補償年金を申請したところ、認められませんでした。

労災保険法では、残された家族が
▽妻の場合は、年齢に関係なく遺族補償年金を受けることができますが、
▽夫の場合、妻の死亡時に54歳以下だと受けることができません。

男性側は「男は仕事、女は家事という伝統的な分業を前提にしていて、不当な差別だ」と主張し、憲法違反だとして国に処分の取り消しを求めています。

男性は提訴後に開いた会見で「支給されないと残された家族は生活が大変で、男女平等に扱ってほしい」と話していました。

厚生労働省は「訴状が届いていないため回答を差し控える」としています。

最高裁判所は7年前、地方公務員の遺族補償年金の同様の規定について、男女間の労働力人口の違いや賃金の差があることなどから「憲法に違反しない」という判断を示していますが、今回、原告側は「共働き世帯の増加など事情は変化している」と主張しています。