能登半島地震で津波被害 松波漁港の競り場が廃止 石川 能登町

能登半島地震で津波の被害を受けた石川県能登町の漁港で、魚などの競りを行う競り場が、被害の大きさなどから先月末で廃止され、地元では、漁業再開への影響が心配されています。

廃止されたのは、能登町松波にある松波漁港の競り場です。

施設を管理する石川県漁業協同組合によりますと、この競り場では、地震の前はアジやサバなどの競りが行われていましたが、津波でシャッターなどの設備が大きく壊れました。

多くの漁業者が被災して水揚げが回復する見通しが立たず、競り場を再建する資金が確保できないとして先月末で廃止されました。

漁業関係者によりますと、今月からは水揚げされた魚などを漁業者みずからトラックなどで競り場のある町内の別の港などに運ばなければならなくなったということです。

このため輸送費がかかるなど負担が増え、地元では被災した漁業者の漁の再開への影響が心配されています。

漁師の船木良倫さん(46)は「競り場はコミュニケーションの場にもなっていたので寂しいです。高齢の漁師の中には漁業をやめる人もいると聞きます」と話していました。

石川県漁業協同組合小木支所の坂東博一参事は「競り場がなくなるなら漁業をやめるという声を聞くが少しでも漁業者が減らないようできる支援をしていきたい」と話しています。

松波漁港の漁業者は

松波漁港は、津波で多数の漁船が転覆したほか、がれきなどが海に流れ込んで本格的な漁が再開できず、廃業を決めた漁業者もいるということです。

それでも漁業者たちは今後の漁の再開のため、8日も津波で流されたがれきやロープを回収するため朝から船を出していました。

漁師の山松義徳さん(70)は「自然災害はしかたないですが、早く復興してほしい。津波で船は沈没したが、体を動かしていないと元気が出ないから少しずつ動いていきます」と話していました。