【9日詳細】米高官 “戦闘休止交渉はハマス回答待ちの状況”

ガザ地区では、イスラエル軍が南部のハンユニスからの撤収を明らかにしたあとも各地で空爆などが続き、死傷者が出ている模様です。

一方、アメリカ・ホワイトハウスの高官は、イスラエルとイスラム組織ハマスの間で続く戦闘の休止などをめぐる交渉について、ハマスに対して提案が行われ、現在、その回答を待っている状況だと明らかにしました。

※イスラエルやパレスチナに関する日本時間4月9日の動きを、随時更新してお伝えします。

ハマス イスラエル側の提案を非難も “責任をもって検討中”

戦闘の休止と人質の解放などをめぐる交渉について、ハマスは9日、仲介国に謝意を示す一方、「イスラエル側は依然としてかたくなで、われわれの要求に何も応じていない」と述べ、改めてイスラエルを非難しました。

そのうえで、「指導部が責任をもって検討している」と述べ、示された提案について検討を進めていると明らかにしました。

提案の中身については触れていませんが、中東の衛星テレビ局アルジャジーラは関係者の話として、ガザ地区北部への住民の帰還や1日にトラック500台分の物資の搬入などが含まれているとしています。

ただ、完全な停戦を求めるハマスに対し、ハマスの壊滅を目指すイスラエルとの立場の隔たりは大きく、交渉の行方は依然、不透明です。

パレスチナの国連加盟 13年ぶり協議再開 米は反対の姿勢

国連で「オブザーバー国家」の地位にあるパレスチナについて正式な加盟国として認めるかどうかの協議が、安全保障理事会で13年ぶりに再開されました。

国連の正式な加盟国として認められるには、安保理で5つの常任理事国が拒否権を行使せず、9か国以上が賛成する「勧告」が出され、国連総会で3分の2以上の賛成を得る必要があります。

パレスチナは2011年に加盟を申請しましたが、イスラエルを擁護するアメリカが反対の姿勢を見せたため、安保理での協議は進まず、現在は採決に参加できない「オブザーバー国家」としての地位が認められています。

ガザ地区での戦闘が続きイスラエルとの対立を深めているパレスチナは今月2日、正式加盟に向けた協議を再開するよう求める書簡を送り、これを受けて安保理は8日、協議の再開を決めました。

このあと安保理の審査委員会の会合が非公開で行われ、安保理議長国のマルタのフレイザー国連大使は記者団に対し、4月を通じて協議を続けていくことを明らかにしました。

一方で、アメリカのトーマスグリーンフィールド国連大使は、「アメリカの立場は変わっていない」と述べ反対する姿勢を見せていて、今後、加盟を支持するアラブ諸国などとの間で対立が深まることも予想されます。

米大統領補佐官 戦闘休止交渉 “ハマス回答は数日かかるか”

アメリカ・ホワイトハウスのカービー大統領補佐官は8日、記者団に対しCIA=中央情報局のバーンズ長官が、週末、エジプトの首都カイロを訪れ、戦闘の休止と人質の解放などをめぐる交渉に参加したと明らかにしました。

交渉ではイスラム組織ハマスに対して提案が行われ、現在、回答を待っているとした上で、「ハマスからの回答は彼らやシンワル指導者とのやりとりの性質上、数日かかることが多い」と指摘しました。

そして、「一刻も早くこの交渉を妥結させたい。6週間程度の停戦が実現すれば、ガザ地区の人々の負担を軽減し人道支援の強化に多くのことができる」と強調しました。

また、イスラエルのネタニヤフ首相が多くの避難者が身を寄せるラファへの地上作戦を実行する考えを強調していることについて、カービー補佐官は、「イスラエル側は、われわれが大規模な地上作戦の実行可能な代替策について彼らと話し合う機会を持つまでは、ラファ周辺での作戦は行わないと確約している」と述べて、地上作戦をめぐってアメリカとイスラエルの間で協議が行われるまでは作戦は実施されないという見通しを示しました。

イスラエル軍南部撤退後も 空爆続く

ガザ地区では戦闘開始から半年となった7日、イスラエル軍が南部のハンユニスからの撤収を明らかにしましたが、その後もイスラエル軍による空爆などが続き、複数の死傷者が出ていると地元のメディアが伝えています。

ロイター通信などは8日、イスラエル軍が撤収したハンユニスに住民が戻り始めたものの、住宅が破壊され途方に暮れる様子を伝えています。

9日も広い範囲でイスラエル軍による空爆などがあり、子どもや女性を含む複数の死傷者が出ていると地元メディアは伝えています。

イスラエル軍は9日、前日の地区全体への空爆などで多数のテロリストの拠点を破壊したなどと主張したうえで、中部で作戦を続けていると発表しました。

戦闘休止交渉 “進展なし 近く新たな協議へ” アラブ系メディア

複数のアラブ系のメディアは8日、戦闘の休止と人質の解放をめぐる交渉がエジプトのカイロで開かれたものの、進展がないまま双方が持ち帰り、近く新たな協議が行われるとの見方を伝えています。

イスラエルのネタニヤフ首相は8日、カイロでの交渉について報告を受けたとしたうえで、「人質全員の解放、そしてハマスを完全に打ち負かすために力を尽くす。勝利のためにはラファに入り、テロリストの排除が必要だ」と述べ、多くの避難者が身を寄せるラファへの地上作戦をあくまでも実行する考えを重ねて強調しました。

一方、パレスチナのメディアは、イスラエルが、ハマス側が求める停戦には応じず、交渉は進展していないなどと伝えていて、双方が妥協点を見いだせるか、先行きが見通せない状況です。

ドイツの武器供給めぐり国際司法裁判所の審理始まる

ガザ地区への攻撃を続けるイスラエルに兵器を供給することはパレスチナ住民の集団殺害に加担するものだなどとして、兵器の供給国のドイツを中米のニカラグアが訴えた裁判の審理が、国際司法裁判所で始まりました。ニカラグアは、裁判所が暫定的な措置としてドイツに対し兵器供給の停止を命じるよう、求めました。

イスラエル軍のガザ地区への攻撃をめぐっては、パレスチナ住民の集団殺害などにあたりジェノサイド条約に違反するとして、いずれも条約の締約国である南アフリカがイスラエルを国際司法裁判所に訴えています。

さらに先月には、イスラエルへの兵器の供給もジェノサイドに加担するものだなどとして、イスラエルに多くの兵器を供給しているドイツを、中米のニカラグアが訴えました。

裁判の審理は8日、オランダ・ハーグにある国際司法裁判所で始まり、ニカラグアは「兵器の供給が保証されているからこそ、イスラエルはガザへの攻撃を続けている」と主張し、裁判所が判決を出すまでの暫定的な措置として、ドイツに対しイスラエルへの兵器供給の停止を命じるよう、求めました。

ストックホルム国際平和研究所によりますと、ドイツは去年までの5年間、アメリカに次いで多くの兵器をイスラエルに供給していて、9日に開かれる審理で正当性を主張するものと見られます。