米英豪の安全保障「AUKUS」 先端技術分野で日本との協力を検討

アメリカのオースティン国防長官は8日、イギリス、オーストラリアの国防相とともに共同声明を発表し、3か国でつくる安全保障の枠組み「AUKUS(オーカス)」の柱の1つである先端技術の分野で、日本との協力を検討していると明らかにしました。

アメリカのオースティン国防長官は8日、イギリスのシャップス国防相、オーストラリアのマールズ国防相とともに、3か国でつくる安全保障の枠組み「AUKUS」をめぐって共同声明を発表しました。

「AUKUS」は2つの柱で構成され、第1の柱は、オーストラリアへの原子力潜水艦の配備、第2の柱は、AI=人工知能や極超音速ミサイルの共同開発をはじめとする先端技術分野での協力を掲げています。

3か国は共同声明の中で「日本の強みと、3か国それぞれとの緊密な防衛上の協力関係があることを踏まえ、第2の柱において日本との協力を検討している」と明らかにしました。

アメリカのバイデン政権は、第2の柱について、日本を含む同盟国や友好国の参加に前向きな姿勢をとってきました。

AUKUSと日本との技術協力をめぐっては、バイデン政権高官は、今月10日の日米首脳会談でも協議が行われる見通しだと明らかにしています。

豪首相“AUKUS 日本をメンバーに加えることは想定せず”

オーストラリアのアルバニージー首相は、9日朝記者団に対し「日本が協力の候補にあがることは自然なことだ」と話しました。

ただ「AUKUSのメンバーを拡大することではない」と述べ、日本をメンバーに加えることは想定していないという考えを示しました。

中国「日本は小さなグループをつくるやり方捨てるべき」

「AUKUS」が先端技術の分野で、日本との協力を検討していることについて、中国外務省の毛寧報道官は9日の記者会見で「日本の軍事や安全保障の動向は常にアジアの近隣諸国や国際社会の懸念となっている」と述べ、反発しました。

そのうえで、「日本は軍事や安全保障の小さなグループをつくるやり方を捨て、真に平和と発展の道を歩むべきだ」と述べ、日本をけん制しました。

木原防衛相「防衛力強化に資する取り組み 今後も進めていく」

木原防衛大臣は、9日の閣議の後記者団に対し「AUKUSの取り組みが促進され、防衛協力が強化されるのは、インド太平洋地域の平和と安定にとって重要であり、わが国として一貫して支持している。防衛省・自衛隊としては、AUKUSの重要性を認識しつつ、防衛力の強化に資する取り組みを今後も進めていく」と述べました。

林官房長官「AUKUSの重要性認識」

林官房長官は閣議の後の記者会見で「国際秩序の根幹が揺らぎ、地域の安全保障が一層厳しさを増す中、AUKUSの取り組みはインド太平洋の平和と安定に資するもので、日本は一貫して支持している」と述べました。

そのうえで、先端技術分野での協力については「今後AUKUS側で検討されることになる。日本としてはAUKUSの重要性も認識しつつ防衛力の強化に資する取り組みを今後も進めていきたい」と述べました。