香港の投資ファンド 花王に改革求める 主要化粧品成長に重点を

日本企業に対し積極的に経営改革を促し、いわゆる「アクティビスト」として知られる香港の投資ファンドが8日都内で記者会見し、日用品大手の「花王」に対して主要な化粧品の成長に重点を置くなど一段の改革を求めました。

香港の投資ファンド「オアシス・マネジメント」は「花王」の株式の3%以上を保有していて、8日、セス・フィッシャー最高投資責任者が記者会見を開きました。

この投資ファンドは花王に対して、採算が悪いブランドの数を減らし、主要な化粧品などの成長に重点を置くことや、マーケティングの経験をもつ社外取締役を起用することなどを求めています。

フィッシャー最高投資責任者は「花王はすばらしいブランドをもっているがそのポテンシャルを発揮できていない。リソースをベストな商品とブランドに集中させることで大きく成長できる」と指摘し、一段の改革を求めました。

海外の投資家は、このところの日本の株価上昇をけん引し存在感を高めていますが、アクティビストと呼ばれる投資ファンドの幹部が記者会見して投資の方針を説明するのは異例のことです。

投資ファンドの主張に対して花王は、今月4日「当社が示した構造改革などが残念ながら十分に理解されていない。中期経営計画において主力ブランドへの投資によるグローバルな成長を追求している」などとコメントしています。

投資ファンド「オアシス・マネジメント」とは

オアシス・マネジメントは香港に本社を置く投資ファンドで、株式を取得した上場企業に対して積極的に株主提案を行うアクティビストファンドとして知られています。

2020年には東京にもオフィスを設立し、これまでに東京ドームの運営会社や滋賀県のエレベーターメーカーに取締役の解任を求めるなど、さまざまな日本企業に対し経営の見直しを求めて来ました。

このうちドラッグストア大手のツルハホールディングスに対しては、去年8月の株主総会で、みずからが推薦する社外取締役の選任などを株主提案しましたが否決されました。

ツルハホールディングスをめぐっては、その後、流通大手のイオンがオアシス・マネジメントの持つツルハの株式を取得したうえで、子会社のドラッグストア最大手「ウエルシアホールディングス」との経営統合に向けて協議を開始することで合意しています。

日本企業へ働きかけ強める「アクティビストファンド」

アクティビストファンドは、このところ、日本企業への働きかけを強めています。

このうち、アメリカの投資ファンド「バリューアクト・キャピタル」は、流通大手 セブン&アイ・ホールディングスに対して、中核のコンビニ事業と傘下のイトーヨーカ堂などのスーパー事業を分離するよう求めたほか、去年5月の株主総会では社長の退任などを求める株主提案を行いました。

また、シンガポールに拠点を置く「3Dインベストメント・パートナーズ」は、大手ビールメーカーのサッポロホールディングスの筆頭株主となっていて、不動産事業を見直し、本業のビール事業などの収益性を高めるよう求めています。

このほか、イギリスの投資ファンド「パリサー・キャピタル」は、大手私鉄の京成電鉄の株式を保有しています。

京成電鉄は東京ディズニーランドなどを運営するオリエンタルランドの株式を保有していますが、ファンド側は、この株式の一部を売却し、成長に向けた投資や株主還元に充てるよう求めています。

去年3月、東京証券取引所が上場企業に対して企業統治の改善や株価の向上策の開示を求めたことがアクティビストファンドにとって後押しになっているという見方もあり、今後、本格化する株主総会で企業側がどのように対応するのかが焦点となります。