イスラエル国防相 “ガザ地区南部に展開の部隊を撤収させた”

イスラエルのガラント国防相はイスラム組織ハマスとの戦闘開始から半年となった7日、ガザ地区南部のハンユニスに展開する部隊を撤収させたと明らかにしました。

最も南にあるラファなどでの今後の作戦に備えるためだとしていますが、アメリカは引き続き、多くの避難者が身を寄せるラファでの大規模な地上作戦に反対する姿勢です。

イスラエルのガラント国防相は7日、ガザ地区南部のハンユニスに展開する部隊を撤収させたことを明らかにしました。

撤収の理由についてガラント国防相は「ラファを含む今後の作戦に備えるためだ」と述べ、ガザ地区の最も南にあるラファでの地上作戦の準備を進めていく考えを示しました。

一方、今回の撤収についてアメリカ・ホワイトハウスのカービー大統領補佐官は7日、ABCテレビのインタビューで「イスラエル側の発表から、これは4か月にわたって現地に配置されていた部隊の休息や再装備のためだと理解している」と述べました。

また、カービー補佐官はCBSテレビの番組で「休息と再装備のあとこれらの部隊が何をするのか語ることはできないが、アメリカがラファでの大規模な地上作戦を支持しないことに変わりはない」と述べました。

ガザ地区での状況の変化と並行して、イスラエルの一部メディアは戦闘の休止と人質の解放をめぐる交渉が7日夜にもエジプトの首都カイロで行われると伝えました。

交渉にはハマスも代表団を派遣すると明らかにしていますが、停戦を求めるハマスとあくまでハマスの壊滅を目指すイスラエルの立場の隔たりは大きく、妥協点を見いだせるかどうかは不透明です。

ガザ地区では7日も複数の場所でイスラエル軍による空爆があり、6人が死亡したと地元メディアが伝えていて、現地の保健当局は7日、これまでに3万3175人が死亡したと発表し、犠牲者が増え続けています。

専門家 “アメリカからの働きかけが影響したか”

イスラエルとパレスチナの紛争に詳しいヘブライ大学トルーマン平和研究所のロニ・シャケッド氏は7日、NHKのオンラインインタビューに応じました。

このなかでイスラエル軍がガザ地区南部のハンユニスから部隊を撤収させたことについて「ここ最近、アメリカのイスラエルへの圧力はますます強まっている。ラファへの地上作戦を行えばアメリカの支持を失うだろう。イスラエルとしては孤立を避けるのが最も重要だ」と述べて、アメリカからの働きかけが影響したのではないかとの見方を示しました。

その上で、部隊を撤収させた後は、事前の情報に基づいた標的を絞った作戦に移行するという見方を示しました。

また今回の撤収によってガザ地区の住民への支援がより容易になるだろうとの見方を示した上で「ガザ地区から部隊が撤収することで、人質解放のための交渉がよりしやすくなるだろう」と期待を示しました。

一方で、シャケッド氏は「ネタニヤフ首相の考えていることは分からない。最終的には住民を避難させ、ハマスの壊滅を目指してラファへの地上作戦を承認するかも知れない」と述べました。