被災した七尾市の「のとじま水族館」 飼育員が再開願う

能登半島地震で被災し、ジンベエザメなど約5000匹の生き物が死んだ石川県七尾市の水族館は、地震から3か月余りが過ぎてもオープンできない状態が続いています。
飼育員たちは各地の水族館に避難させた生き物たちの様子を確認しながら、再開の日を待ち望んでいます。

七尾市の「のとじま水族館」は能登半島地震で水を循環させる装置や配管が壊れ、多くの人に親しまれていたジンベエザメのオスの「ハチベエ」とメスの「ハク」が死にました。

熱帯魚やクラゲなど合わせて約5000匹の生き物が死に、ほかの生き物も十分な飼育ができないため、これまでに全国9か所の水族館などにカマイルカやフンボルトペンギンなど63匹を避難させています。

地震から3か月余りが過ぎても復旧のめどはたっていませんが、水族館では飼育員たちが避難した生き物のその後の状況を確認しながら、再開に向けた準備を進めているということです。

「のとじま水族館」の展示・海洋動物科長の加藤雅文さんは、「生き物たちを受け入れてくれた施設には感謝のことばしかありません。応援してくれたみなさんには早く元気な姿を見せられるようにしたい」と話していました。

「のとじま水族館」では、使えるようになった水槽に魚を移し替える作業なども少しずつ進めるとともに、修繕費などにあてるクラウドファンディングへの協力の呼びかけも続けています。

【動画】地震直後から搬送作業

「のとじま水族館」は地震の直後から日本動物園水族館協会などからの支援を受けて、飼育が難しい生き物たちの搬出作業を始めました。

搬出されたのは、ゴマフアザラシやフンボルトペンギン、それにウミガメ類などあわせて9種類、63匹で、移送中のストレスなどを考慮して日本海側を中心に県内外の水族館や動物園を選びました。

このうち、カマイルカを搬出した時に水族館が撮影した動画には、飼育員たちが1頭ずつ専用の担架に乗せたあと、クレーンで引きあげる作業が写っています。

このあと、飼育員たちはおよそ10人がかりで移送用のトラックに積まれた水の容器のなかに慎重に入れていました。