【6日詳細】ガザ NGOスタッフ死亡で調査委の設置求める

ガザ地区で食料支援にあたっていた国際的なNGOのスタッフ7人がイスラエル軍による攻撃で死亡したことを受け、イスラエル軍は高官2人を解任すると発表しましたが、NGO側は独立した調査委員会の設置を求め、このままでは失敗や謝罪が繰り返されることになると改めて批判しました。

※イスラエルやパレスチナに関する日本時間4月6日の動きを随時更新してお伝えします。

国連事務総長「手遅れになる前に」戦闘開始から7日で半年

イスラエル軍とイスラム組織ハマスの戦闘が始まってから今月7日で半年となるのを前に、国連のグテーレス事務総長が5日、国連本部で会見を開きました。

グテーレス事務総長はまず去年10月7日のハマスによるイスラエルへの攻撃と人質の拘束などを強く非難し、すべての人質の無条件での解放を改めてハマスに求めました。

一方、イスラエルに対しては「この半年間、イスラエル軍の作戦は、ガザのパレスチナ人に容赦のない死と破壊をもたらした。人口の半数以上が壊滅的な飢餓に直面している。パレスチナの人々に対する集団的な懲罰を正当化できるものは何もない」と非難しました。

その上でグテーレス事務総長は「この6か月でわたしたちは瀬戸際に立たされている。手遅れになる前に、銃声を止め、恐ろしい苦しみを和らげ、飢きんを食い止めなければならない」と述べ、ガザ地区での人道目的の即時停戦と民間人の保護を改めて求めました。

イスラエル軍 高官2人解任発表も NGO側は調査委の設置求める

ガザ地区で去年10月にイスラエル軍とイスラム組織ハマスの戦闘が始まってから7日で半年となりますが、地元メディアは5日も広い範囲でイスラエル軍による激しい攻撃があり、多くの死傷者が出ていると伝えています。

地元の保健当局はこれまでの死者が3万3091人になったと発表しました。犠牲者が増え続ける中、イスラエル軍は5日、国際的なNGO「ワールド・セントラル・キッチン」のスタッフ7人が死亡したのは深刻な過ちだったと認め軍の高官2人を解任すると発表しました。

これに対しNGO側は「イスラエル軍はガザ地区でのみずからの失態について信用できる調査は行えない」として独立した調査委員会の設置を求めるとともに、このままでは失敗や謝罪が繰り返されることになると改めて批判しました。

一方、今月1日にシリアにあるイランの大使館がイスラエルによるとみられる攻撃を受けたことについて、イランが支援するレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの最高指導者は、「イランからの反応は避けられない。ダマスカスで敵が犯した愚かな行為は、勝利への扉を開くだろう」などと述べ、イスラエルをけん制しました。

イスラエル軍は5日、レバノン南部のヒズボラの拠点への攻撃を行ったなどとしていて、地域の緊張がいっそう高まっています。

国連安保理が緊急会合 イスラエルに非難相次ぐ

5日に開かれた安保理の緊急会合では、ガザ地区で食料支援活動にあたっていた国際的なNGOのスタッフ7人がイスラエル軍の攻撃で死亡したことについて、各国からイスラエルを厳しく非難し徹底した調査を求める声が相次ぎました。

多くの国がこれまでに人道支援にあたるスタッフ200人以上が死亡していると指摘し、イスラエルを擁護してきたアメリカの代表も「イスラエルが人道支援スタッフや市民を十分に保護してこなかったことを深く懸念している」と述べました。

またアルジェリアのベンジャマ国連大使は「イスラエルはNGOの7人には謝罪したが、殺害された多くのパレスチナ市民に謝罪しないのはなぜだ」と厳しく非難しました。

さらに各国からは、イスラエルが先月、安保理で採択されたイスラム教の断食月の期間中の停戦を求める決議に反して攻撃を続けているとして強い不満が表明され、ガイアナのロドリゲスバーケット国連大使は「遺憾にも決議は完全に無視され、人道状況は悪化している」と訴えました。

これに対してイスラエルのエルダン国連大使は、NGOのスタッフが死亡した攻撃については遺憾の意を表明したものの、「ハマスがガザを支配し続ける限り紛争は解決しない」と述べて、戦闘を続ける姿勢を改めて示しました。

バイデン大統領 仲介国にハマスへの圧力求める書簡送ったか

人道危機がいっそう深刻化する中、アメリカのニュースサイト「アクシオス」は、アメリカのバイデン大統領が今月5日に、仲介国のエジプトやカタールに対してハマスが戦闘の停止や人質の解放に向けた交渉で合意に応じるよう、圧力をかけることを求める書簡を送ったと報じました。

交渉は今週末にエジプトで行われると伝えられていて、双方の立場の隔たりが依然として大きい中、合意の糸口が見いだせるかが焦点となります。

国連人権理事会 イスラエルへの武器売却停止求める決議を採択

国連の人権理事会は5日、スイスの国連ヨーロッパ本部で、ガザ地区の人権状況をめぐる決議案の採決を行いました。

決議案は、ガザ地区での停戦やイスラエルによる封鎖の解除を求めるとともに、さらなる人権侵害を防ぐためとして、すべての加盟国に対しイスラエルへの武器や弾薬などの売却や移転を停止するよう求めています。

採決の結果、28か国の賛成多数で決議は採択されましたが、イスラエルに武器を輸出しているアメリカやドイツを含む6か国は「ハマスへの非難の言及がない」などとして反対しました。

また、日本は当事者からのさらなる説明が必要だなどとして投票を棄権しました。

採択後、パレスチナの代表は、決議の採択に感謝する一方で、「決議案に反対票を投じた国や、棄権した国の立場は理解しかねる」と述べました。

イスラエルへの武器輸出をめぐっては、ガザ地区の人道状況が悪化する中、カナダやスペインなど、新たな輸出を凍結するなどの方針を打ち出す国も出ています。

マクドナルド イスラエルの店舗運営会社買収 ボイコット背景か

マクドナルドは4日、イスラエルで225のマクドナルドの店舗をフランチャイズで運営する会社、「アロニアル」を買収することで合意したと発表しました。

この会社は現地で30年以上にわたってフランチャイズの店舗を運営し、5000人を超える従業員を雇っていて、マクドナルドは買収後もこれまでと同じ条件で雇用を維持するということです。

買収の背景として欧米のメディアは去年10月にイスラエルとイスラム組織ハマスの軍事衝突が起きて以降、この会社がイスラエル兵に無料で食事を提供したことに反発して中東などでボイコットが広がり、業績が悪化していたことがあると伝えています。

イスラム教徒が多い国々ではイスラエルの企業の商品をボイコットする動きも出ていて、軍事衝突が続いている影響が企業の経営にも広がっています。

エルサレム 聖地でイスラム教徒に催涙弾放たれる

エルサレムでは、6日にかけて旧市街のイスラム教の聖地にある「アルアクサ・モスク」周辺に集まっていた大勢のイスラム教徒に対して、催涙弾が放たれました。

イスラエルの警察は、群衆がテロを扇動しようとしていたなどとして16人を拘束したとしていますが、さらなる反発の強まりが懸念されます。