南海トラフ巨大地震の評価検討会 “特段の変化観測されず”

南海トラフで巨大地震が起きる可能性を評価する定例の検討会が開かれ、「特段の変化は観測されていない」とする評価結果をまとめました。

専門家でつくる検討会は5日定例の会合を開き、南海トラフの想定震源域やその周辺で観測されたデータを分析しました。

それによりますと、巨大地震の想定震源域にあたる地域では3月以降、目立った地震はありませんでした。

一方、プレート境界付近で「深部低周波地震」と呼ばれる小規模な地震が▽四国中部で3月22日から継続して観測されています。

また、ほぼ同じ時期に周辺の複数の「ひずみ計」でわずかな地殻変動が観測されました。

いずれも想定震源域のプレートの境界が数日から1週間程度かけてゆっくりとずれ動く「短期的スロースリップ」が原因とみられます。

このほか
▽四国中部で2019年の春ごろから
▽静岡県西部から愛知県東部にかけて2022年のはじめから地殻変動が継続的に観測されていて

いずれも
▽四国中部周辺と
▽渥美半島周辺のプレートの境界が年単位でゆっくりとずれ動く「長期的スロースリップ」が原因とみられます。

このうち、四国中部周辺のスロースリップは最近は鈍化しているということです。

これらの現象は繰り返し観測されていることから、検討会は「大規模な地震の発生の可能性がふだんと比べて相対的に高まったと考えられるような特段の変化は観測されていない」とする評価結果をまとめました。

検討会の会長で東京大学の平田直名誉教授は「プレートの沈み込みは続いているので、引き続き巨大地震に十分備えてほしい」と呼びかけています。

また、3日台湾付近で発生したマグニチュード7.7の大地震による影響については「南海トラフのプレートの動きに変化は観測されていない」と述べました。