ライドシェア 地域に応じ柔軟運用確認 全国知事会と国交省幹部

一般のドライバーが自家用車を使って有料で人を運ぶ「ライドシェア」のサービスについて全国知事会が国土交通省の幹部らと意見を交わし、都市部や山間部など地域の実情に応じて制度を柔軟に運用していく方針を確認しました。

「ライドシェア」は、タクシー会社が管理することを条件に今月から東京都や神奈川県など一部の地域でサービスが始まります。

こうしたライドシェアをめぐって、全国知事会の会長を務める宮城県の村井知事や副会長の鳥取県の平井知事らが5日、国土交通省を訪れ、運用のあり方などについて意見を交わしました。

この中で、知事側からは東京などの大都市と地方の県庁所在地、それに山間部では高齢化率や鉄道などの交通事情が異なることに配慮してほしいという意見が出されました。

これに対し、国土交通省側から、地域の実情に応じ制度の柔軟な運用が必要だという認識が示されたということです。

また、タクシー事業者以外が行うライドシェアについて、政府がことし6月に向けて議論を進めることに関連し、知事会側は安全の確保を前提に丁寧な議論を求めました。

意見交換のあと村井知事は、記者団に対し「全国各地で起きている地域の足の課題に柔軟に対応するという問題意識を共有できた。ただ、新たな法整備は安全が第一であり、拙速に進めるべきではない」と述べました。

都内で始まる前にサービス想定した対応公開

タクシー会社の管理のもとで「ライドシェア」のサービスが今月から都内で始まるのを前に、参入を申請しているタクシー会社などが、車両の予約やドライバーの点呼の手順など実際のサービスを想定した対応を公開しました。

一般のドライバーが自家用車を使って有料で人を運ぶ「ライドシェア」をめぐっては、タクシー不足と認められた地域を対象に、タクシー会社の管理のもとで実施できる制度が新たに設けられ、都内では、今月8日にも始まる見通しです。

これを前にライドシェアへの参入を申請しているタクシー会社などが5日、東京 江東区で実際のサービスを想定した対応を報道陣に公開しました。

ライドシェアの新たな制度では、行き先や運賃が事前に確定していることが条件となっています。

このため、このタクシー会社ではサービスの提供を配車アプリでの予約のみに限定し、会社が提携しているアプリの運営会社では、制度の開始にあわせてアプリで呼ぶことができる車両にライドシェアを示す「自家用タクシー」の項目を追加しました。

また、運転前にドライバーの健康状態などを確認する点呼をテレビ電話を通じて行う「遠隔点呼」の実演も行われました。

アルコールのチェックでは、ドライバーが車内で専用の機器に息を吹きかけるとデータがタクシー会社に送信される仕組みで、会社の担当者は、カメラで映し出されるドライバーの顔を見て話しながら健康状態を確認していました。

「ロイヤルリムジン」の堀江一生 顧問は「ライドシェアは久しぶりに登場した新しい移動手段で、安全の基本を大事にして成功させたい」と話していました。

関東運輸局東京運輸支局によりますと、都内では4日までに複数のタクシー会社の合わせて47の営業所からライドシェアの申請があったということです。

また、タクシーの配車アプリ各社でもサービスの提供に向けてライドシェアに対応した機能を順次、追加するということです。

配車アプリ提供「ウーバー ジャパン」の代表は

配車アプリを提供する「ウーバー ジャパン」の山中志郎 代表は日本でのライドシェアの普及について、「ライドシェアに乗りたい人や海外で多く使っている外国人旅行者は抵抗なく使えるのではないか。タクシーを補完するシステムであり、待ち時間が短いのであれば、使ってみたいという人が増えてくるのではないか」と話していました。