京都第一赤十字病院 脳神経外科学会が研修施設認定を停止

京都第一赤十字病院の脳神経外科で手術の記録や安全管理についての検証などが不十分なケースがあったとして、京都市から行政指導を受けたことなどをめぐり、日本脳神経外科学会がこの病院について専門医になるための研修を行う施設としての認定を停止したことが分かりました。

京都市にある京都第一赤十字病院の脳神経外科では、4年前、脳腫瘍の手術を受けた70代の女性が腫瘍ではない脳の組織を誤って摘出されるミスがあったほか、京都市が手術の記録や安全管理についての検証などが不十分なケースがこの女性を含め3件あったとしてことし1月に行政指導を行い、改善を求めています。

この病院は脳神経外科の専門医になるための研修を行う施設に認定されていましたが、こうした状況を受け日本脳神経外科学会が病院に聞き取りをしたうえで理事会で審議した結果、「医療の安全管理体制など教育上の懸念事項がある」などとして先月31日付けで認定を停止したことが分かりました。

学会によりますと認定の停止は異例の措置だということで、病院の管理体制が改善されるなどした段階で改めて審査するとしています。

これについて病院は「大変重く受け止めています。患者さまやご家族に不安を与えることとなり申し訳ございません。専門医研修を予定していた先生方にもご心配やご迷惑をおかけしてしまい、お詫び申し上げます」などとコメントしています。

専門家「医療の安全性を全面的に見直すべき」

患者の安全の問題に詳しい名古屋大学医学部附属病院の長尾能雅教授は「専門学会が患者安全上の懸念を理由に施設認定を停止するのは非常に重大な判断だ。院内で脳神経外科の診療を点検するだけでなく、医療の安全性を全面的に見直すべき機会だ。こうした問題が起こると、チームや組織全体の構造的な問題が指摘されることが多く客観的な検証が必要だ」と話していました。