能登半島地震 必要な支援と課題は?首長発言から【4月2日】

2日、石川県の「災害対策本部員会議」が開かれました。

公的な支援を受けるために必要なり災証明の調査に人員が足りていないとして支援を求める声が上がりました。

また、住宅が一部損壊と判定された高齢者から「修理もできず、仮設住宅にも入れず困っている」といった相談が寄せられているということです。

6つの自治体の首長の発言をまとめました。

※発言の順番に掲載しています。

輪島市 坂口茂市長『公共施設の解体費用49億と試算』

「震災から3か月。この間の皆さんのご支援に対し、心から感謝申し上げる」

「輪島市では一次避難所における避難者数は先週と比較して大きく減少(204人減)し、1531人となった。上水道の通水率が84%を超えたこと、応急仮設住宅の完成が進んできたことが理由と思われる」

「復旧復興に向け、公費解体、なりわい再建、復興まちづくり計画の策定など鋭意取り組んでいきたい」

「輪島市から2点お願い。1点目は『公共施設の公費解体』。市で試算したところ、新たに作り替えるものを除き、取り壊したい公共施設が43施設あり、概算で49億円を要すると計算。これを公費解体で行った場合、市の実質負担は2.5%と計算すると1.2億円。公費解体が適用されない場合、市の負担が7億円を超える計算となり、輪島市としては大変きつい状況。公共施設の公費解体お認めいただくようお願い申し上げる」

「もう1点。避難所の高齢者の避難者から相談が増えてきている事案。り災証明で一部損壊の判定を受けたが、屋根は壊れているし、窓ガラスも割れていて年金生活の身としては修理ができないと言われる。一部損壊では仮設住宅にも入れず困っているという相談。避難所の閉所も進めていくうえで、この問題はのちのち課題になってくると考えている。解決方法を市でも考えているが妙案はなく、いい方法があれば教えていただきたい」

珠洲市 泉谷満寿裕市長『り災証明の調査班減少 増班を』

「このたびの中長期職員派遣で珠洲市では4月1日、39人に着任いただいた。心から感謝申し上げる。中長期職員には主にインフラ復旧と公費解体業務をになっていただく」

り災証明にかかる被害認定調査は2次調査の申請が2531件に対し、調査済みが1日までに2303件で残り228件の積み残しがある。3月までは17班態勢で行っていたが、4月1日からは2班のみの態勢となり、はかどらない。り災証明が確定しなければ被災者の皆さんが次のステップに進めず、迅速に進めることが重要だと思っている。あとひと月、4月中だけで結構なので、思い切った増班をお願いをしたい

穴水町 宮崎高裕副町長『保育所 小中学校で子ども減少』

「県に要望していた向洋小学校、穴水高校の通学路について、入学式までに素早く対応していただき、お礼申し上げる」

「避難所は町内に15か所、避難者は266人、ラインや電話による避難者登録は752人となっている」

「仮設住宅は76戸が整備済みで、建設中は374戸。入居世帯は75世帯160人となっている。今後は4月6日に陸上競技場の仮設住宅に85世帯が入居予定」

「公費解体について。窓口受け付け予約件数が1187件で、受付件数が910件となっている」

自衛隊による入浴支援は3月31日をもって終了した。これで穴水町での自衛隊の支援はすべて終了した。炊き出し、物資搬送、給水、入浴への支援、長い間ありがとうございました」

保育所の新年度の全児童数は、平和こども園で63人、光琳寺保育所で44人、神杉保育園で24人。去年12月末より10人減っている。すべて地震が原因ではないが今後、確認していきたい」

「小中学校の新年度の入学者数は小学校が26人で全児童は175人。中学校の(入学者数は)39人で全生徒は107人。12月1日と比較すると、小学校で19人、中学校では5人減っている

「授業は新年度より全小中学校で対面形式のみとし、給食は第2調理場が使用できないため、向洋小学校の調理室で行いたい」

通学バスは、北鉄奥能登バスの増便により、おおむね通常どおり通学できるようになった」

「最後に、新年度を迎え、県や野々市市からの(職員の)派遣を受けることになり、ありがたい。1日からは地震対応の中長期の派遣職員が赴任している。南は鹿児島県の徳之島から、北は青森市まで25人の派遣が決定していて、1日は15人に辞令を交付した。任期は最大で2年の職員もいる。皆さん、志をもってこられている。優秀な皆さんのお力をお借りし、現在派遣されている自治体の職員とともに、復旧復興を加速していきたい」

能登町 大森凡世町長『金沢に通院する町民からバス停の要望』

「(職員の)中長期派遣に尽力いただいた関係者に感謝申し上げる」「避難者は293人、前回(3月26日)の報告から83人の減となっている役場内の避難所も閉鎖し、避難所の数は現在23か所となった」

断水の解消は5423戸、通水率は87%まできた。およそ9割の世帯の断水が解消されたことになる」

「被害家屋の公費解体は、これまでに290人から申請を受け付けている」

「町からふたつお願いがある。まず金沢行きのバスについて。現在、町の役場と金沢駅をむすぶバスは臨時ダイヤとなっていて、金沢行きは午後に1便、能登町行きは午前に1便となっている。このダイヤでは町民が金沢に行く場合に日帰りすることができない。町から金沢行きのバスを午前にもう1便設けるなど、金沢に行く際にも日帰りができるようご支援をいただければ」

「午前中に金沢に行く場合には、のと里山空港から輪島特急線を利用することになるが、従前と比べて停留所が限定されていて、金沢医科大学病院前や県立中央病院前のバス停には停車していない。金沢の病院に通院している町民からは“何とかしてほしい”という声を聞いている。当面の対応として、病院前のバス停を追加してもらえるようお願いしたい」

「ふたつ目は、液状化により被害を受けた宅地の復旧について。町では液状化で沈んでしまった住宅が多くある。傾いた住宅の復旧が急がれるので、120万円の支援給付金など対策事業の具体化をお願いしたい。あわせて盛り土の造成地の崩落対策や急傾斜地の崩落対策を含め、さまざまな施策があり、支援メニューを住民に説明するため複数の施策を一覧に示した分かりやすい資料の作成をお願いをしたい」

七尾市 茶谷義隆市長『被害判定調査の支援を』

避難所は前回(3月26日)から9か所減って現在9か所に。避難者数は291人で前回から105人減った」

「公費解体の申請件数は620件で2次解体の申請件数が5件」

「仮設住宅は2次募集の段階で募集戸数242に対し、申し込みが291と50件以上オーバー。仮設住宅が足りなくなってくる状況なので増設をお願いしたい」

「いくつか要望がある。公費解体に関し、大規模非住家家屋の評価は七尾市では判定が非常に難しく、被害判定調査の支援をお願いしたい」

中長期の(職員)派遣の費用は派遣先自治体であるわれわれの負担となっている。現在は8割が特別交付税の措置になっているが、災害復興特別交付金は10割になっていて、できるかぎりそれに近づけていただきたい

「解体家屋の動産の預かりについて。全額とは言わないまでも県と市である程度負担して支援できればと思うので、検討をお願いしたい」

志賀町 稲岡健太郎町長『放課後児童クラブの運営に支援を』

避難所は前回報告から1施設36人減の11施設308人。り災証明は1次調査は95%で推移。新規申請がおさまらずずっと95%で推移」

「公費解体は1日現在で686棟分の申請が出ている」

「災害ごみは1日平均618台、108.2トンで、少しずつ減少している」

「ボランティアはニーズの受け付けが1日現在で1264件に対し完了率が86%。参加ボランティアの累計は5511人」

「要望事項。発災当初、志賀町の富来地区の小中学校の校舎が避難所となっていたが、小学校の建物被害が大きく、中学校の校舎を小学校が間借りする形で1月25日に再開した。空き教室を利用して放課後児童クラブを運営しているが、新年度、小中学校ともに特別支援学級を設置することになり教室に余裕がなくなっている。新年度からは床が損傷している柔道場を利用して放課後児童クラブを運営することになっているが、トイレも近くになく空調設備もない。放課後児童クラブの新規建設を検討したが、場所の選定や設計、施工などで約2年程度の時間がかかるため、児童及び保護者に負担を強いることになる。仮設による運営・設営を検討しているが所管の厚生労働省から補助がないと伺っている。1日でも早く子供たちが安全安心して利用できる施設を用意するため、国・県の支援をお願いしたい」

石川県の「災害対策本部員会議」の内容は県のホームページから誰でも確認できます。資料を確認できるほか、会議の動画を見ることもできます。

次回の災害対策本部員会議は9日の予定です。