プロ野球のDeNAで8年のキャリアを積み念願の大リーグ、カブスに移籍した今永投手は1日、本拠地シカゴで行われたロッキーズ戦で初めて先発のマウンドに上がりました。
カブス 今永昇太 デビュー戦で初勝利 9奪三振 6回無失点
大リーグ、カブスの今永昇太投手が1日、ロッキーズ戦で移籍後、初先発を果たし、9つの三振を奪う好投で6回を無失点に抑え、デビュー戦で初勝利をあげました。チームメートの鈴木誠也選手が決勝点につながるヒットも打ち、後押ししました。
今永昇太 デビュー戦で初勝利 鈴木誠也が決勝点に貢献
開始直後、大リーグでの1球目は148.7キロの力強い速球でストライクを取りました。
このあと先頭バッターをセンターフライに打ち取るとここからギアが上がった今永投手は、2回、変化球を低めに決めて2者連続三振、4回は、伸びのある速球でここも2者連続の三振を奪いました。
5回まではヒットを1本も許さず0対0で迎えた6回は、2アウトから連続ヒットを許し一塁二塁のピンチを招いたものの、後続のバッターは149キロの速球で空振りの三振を奪い得点を許しませんでした。
そのウラ、味方の打線はノーアウト一塁から2番・指名打者で先発出場した鈴木誠也選手がライト前にヒットを打ってチャンスを広げるなどこの回、3点を先制し、今永投手に勝ち投手の権利がつきました。
今永投手は7回のマウンドには上がらず初登板は球数92球、打たれたヒットは2本、フォアボールはなく奪三振は毎回の9つで6回無失点の好投でした。
カブスは7回にも得点を加えて5対0で勝ち、今永投手は大リーグ初登板初勝利をあげました。
また、得点に絡んで勝利に貢献した鈴木選手はこの試合3打数1安打、フォアボールが1つでした。
今永昇太「やりたいことがマウンドでできたことに安心」
大リーグデビューを初勝利で飾った今永投手は「気持ちが力んでしまうことはなかった。今までどおりの朝を迎えた」と振り返り「日本時代から僕の苦しい時も見てくれている方が、朝起きた時に『良かったね』と言ってくれるような結果を出したいと思っていた」と試合に臨んだ心境を明かしました。
そして「フォアボールがゼロというのが自分に合格点をあげたいところだ。データなどを使って根拠を持って投げることをやりたいと思っていて、きょうはそのとおりにできそうな指のかかりなどがあった。やりたいことがマウンドでできたことに安心した」と自身のピッチングに手応えを感じている様子でした。
6回にピンチを背負いながらも三振で切り抜けた場面については「最後の力を振り絞った。とても甘い球で球威もそこまでよくなかったがカブスのファンの歓声がミットまでボールを押し込んでくれた」と話し、マウンド上での雄たけびについては「なんて言ったか覚えてないが、そのあとにたぶん『レッツゴー』と言ったので少しアメリカ
人になってるかもしれない」と笑顔を見せていました。
そして「もしこれを船出と例えるなら、まだ船からロープを外しただけだ。これから150試合以上あるので、きょうはしっかり余韻に浸って、また気を引き締めて過ごしたい」と長いシーズンを見据えていました。
“デビュー戦で大リーグ史上2人目の快挙” カブス公式SNS
今永投手のピッチングは、アメリカのメディアも「デビュー戦はこれ以上ないほどすばらしいものになった」「大リーグの歴史を作った」などとたたえています。
カブスの公式SNSによりますと、少なくとも1901年以降、デビュー戦で
▽6回以上を投げて▽9奪三振以上▽フォアボールを出さずに▽無失点だったピッチャーは、大リーグ史上2人目だということです。
カブスのカウンセル監督は「彼はこれまで多くの大舞台で活躍してきた選手で、それを証明してくれた。緊張も利用して自分のプレーを高めることができる」と称賛しました。
そして、投球のなかで26%以上を占め、9つの三振のうち、4つで決め球となったスプリットについて「それが彼の投球術だ。スプリットが空振りの大部分を占めていて、彼はバッターにとって難しい存在だ」と話していました。
みずからの大リーグデビュー戦を「船出」と表現した今永選手の今後の船路に期待が高まる初登板となりました。