【31日 詳細】ガザ地区支援へ 海上輸送船がキプロス出発

深刻な食料不足に陥っているガザ地区の住民を海上輸送で支援しようと、食料などを載せた船が30日、地中海の島国キプロスを出発しました。

※イスラエルやパレスチナに関する日本時間3月31日の動きをお伝えします。

海上輸送は今月2回目

海上輸送はアメリカのNGO「ワールド・セントラル・キッチン」がキプロスやUAE=アラブ首長国連邦などの支援を受けて進めていて、今月中旬に続いて2回目です。

キプロス政府によりますと、今回の船では300トン以上の物資が運ばれるということです。

アメリカのNGOはSNSで、「差し迫った飢きんに直面しているパレスチナの人々にできるだけ多くの食料を届けられるよう、パートナーとともにこのルートを開いた」としていて、今回、コメやパスタなどの食料のほか、荷降ろしを迅速に行うための機械も届けるということです。

一方、パレスチナ赤新月社は30日、10台のトラックで食料を北部ガザ市に届けたことをSNSで明らかにしたうえで、「イスラエルによる包囲が飢きんのリスクを加速させ、民間人の命に大きな脅威をもたらしている」と、攻撃を続けるイスラエルを非難しています。

ガザ地区への人道支援物資をめぐってOCHA=国連人道問題調整事務所は29日、今月1日以降、ガザ地区北部への人道支援活動のうち、3割がイスラエル当局によって拒否されたと明らかにしました。

そのうえで、ガザ地区北部では飢きんがことし5月にかけていつでも起こりうるとして、危機感を示しています。

レバノン 国連機関の監視員らの近くで爆発

イスラエル軍と隣国レバノンに拠点を置くイスラム教シーア派組織ヒズボラとの間では衝突が続いています。

イスラエルに接するレバノン南部で国境地帯を監視する国連レバノン暫定軍は30日、パトロールにあたっていた国連機関の監視員らの近くで爆発があり、4人がけがをしたと発表しました。

国連レバノン暫定軍は「この爆発がどこからもたらされたのか調査している。すべての当事者にこれ以上多くの人が傷つく前に戦闘をやめるよう呼びかける」としています。

この爆発について、ロイター通信は治安関係者の話として、イスラエルによる攻撃だったと伝えた一方、イスラエル軍は関与を否定しています。

ガラント国防相は29日、イスラエル北部の司令部を訪問したあとSNSを更新し、「ヒズボラが活動している場所であればどこでも追跡し、圧力と攻勢を強める」としていて、衝突の拡大が懸念されています。

“バイデン政権がイスラエルへの武器売却を承認” 米メディア

イスラエル軍がガザ地区各地で軍事作戦を続けるなか、アメリカのメディアは、バイデン政権がイスラエルに対する戦闘機などの武器の売却を承認していたと伝えました。パレスチナ側は「市民の殺害をやめろと言いながら、武器を渡すのは道徳的矛盾だ」と反発しています。

イスラエル軍はガザ地区各地で軍事作戦を続けていて、30日、中部や北部で空爆で戦闘員を殺害したほか軍事施設を攻撃したとSNSで発表しました。

一方、ガザ地区の保健当局は過去24時間で82人が死亡し、これまでの死者は3万2705人にのぼったとしています。

こうした中、アメリカの有力紙ワシントン・ポストは29日、バイデン政権が今月、イスラエルに対する新たな武器の売却を承認したと伝えました。

承認したのは25機のステルス戦闘機や2300発以上の爆弾など、数十億ドル規模で、過去に議会で同意を得ていたため、新たな通告は義務づけられていないとして、今回、発表していなかったということです。

これに対してパレスチナ側は、「ネタニヤフ首相に市民の殺害をやめろと言いながら、武器を渡すのは道徳的矛盾だ」と反発しています。