テロ事件 ロシアのウクライナ関与主張 民族的緊張懸念の見方も

ロシアの首都モスクワ郊外で起きたテロ事件で、実行犯は、中央アジア出身だと伝えられています。プーチン大統領は、国内に中央アジア出身の人たちも多く暮らすことから社会で緊張が高まることを懸念し、ウクライナ側が関与したとする主張を強調しているという見方も出ています。

ロシアの首都モスクワ郊外のコンサートホールで22日に起きたテロ事件は29日で発生から1週間となり、これまでに144人が死亡したと発表されています。

過激派組織IS=イスラミックステートとつながりのある「アマーク通信」はISの戦闘員による犯行だと伝え、実行犯とされる中央アジアのタジキスタン国籍の4人が起訴されました。

さらに、ロイター通信は29日、タジキスタンの治安当局の関係者の話として、ISとの関係が疑われる9人を新たに拘束したと報じました。

事件当時、現場にいた男性は29日、NHKの取材に対して「テロリストたちはホールに入ると廊下や階段付近にいる人を撃った。自動小銃で無防備な人々を至近距離から撃ち始めた」と緊迫した状況を証言しました。

事件を巡ってプーチン大統領は、ウクライナ側が関与したとする主張を続けていますがウクライナは全面的に否定しています。

アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は28日「プーチン大統領は民族的な緊張が高まることを懸念し、ウクライナと欧米側を非難している可能性がある」と指摘しました。

プーチン大統領は、ロシア国内に中央アジア出身の人たちも多く暮らすことから社会で緊張が高まることを懸念しウクライナ側が関与したとする主張を強調しているという見方も出ています。