東京電力HD 今年度業績予想 2年ぶり黒字転換の見通し

東京電力ホールディングスは、これまで未定だった今年度の業績予想を公表し、燃料の調達コストの下落などで、最終的な利益が2470億円に上り、昨年度の赤字から2年ぶりの黒字に転換する見通しを明らかにしました。

東京電力は、福島第一原子力発電所の処理水の放出が業績に与える影響を見通せないとして、未定としてきた今年度の業績予想を29日に公表しました。

それによりますと
▽売上高は6兆9260億円と、昨年度より14%減る一方
▽最終的な利益は2470億円と、
昨年度の1236億円の赤字から2年ぶりの黒字に転換する見通しです。

処理水の放出に伴う賠償費用として515億円を計上したものの、火力発電の燃料のLNG=液化天然ガスや石炭などの調達コストが下がったことなどで黒字を確保できるとしています。

東京電力ホールディングスの山口裕之 副社長は記者会見で「黒字を確保できそうだが、企業価値の向上への取り組みに課題があると感じている。引き続き経営の合理化を進めていきたい」と述べました。

一方、東京電力は28日、新潟県にある柏崎刈羽原子力発電所の再稼働に必要な検査の一環として4月にも7号機の原子炉に核燃料を入れることを原子力規制委員会に申請しましたが、再稼働の時期について山口副社長は「再稼働には地元の理解が前提なので時期は申し上げられない」と述べるにとどめました。

山口副社長「顧客情報の不正閲覧 大変重く受け止めている」

東京電力ホールディングスの社員などが、送配電を行う子会社の顧客情報を不正に閲覧していたことについて山口副社長は、「大変重く受け止めている。今後、詳細な事実関係を調査して経済産業省の電力・ガス取引監視等委員会への報告徴収に適切に対応したい」と述べました。