「核のごみ」地層処分 反対の専門家が審議会に出席し議論

原子力発電に伴って発生するいわゆる「核のごみ」を地下深くに埋めて処分することに反対している専門家が経済産業省の審議会に出席し「地下の変動が激しい日本に適地はない」とする意見を述べました。これに対し経済産業省側は「国内でも適地を探すことは可能だ」と説明しました。

高レベル放射性廃棄物、いわゆる「核のごみ」は長期間、強い放射線を出し、地下300メートルより深くに埋めて処分することが法律で決められています。

29日は処分の技術的な方法を検討する経済産業省の審議会に、去年10月、「日本に地層処分の適地はない」とする声明を発表した地質学などの専門家3人が出席しました。

このうち北海道教育大学名誉教授の岡村聡さんは「日本は、複数のプレート境界の影響で地下の変動が激しく、地層での処分にはそもそも適していない」と述べました。

また、北海道大学名誉教授の小野有五さんは「過去の地震の経験から、断層が動いた場合には広い範囲で地下が変形すると考えられ、日本の多くの場所が不適切だと考えるべきだ」と主張しました。

これに対し経済産業省の担当者は「実際の処分地選定は、20年程度かけて段階的に調査を行って進めていく。活断層や火山は繰り返し同じ地域で活動しているので、そうした地域を避けて適地を探すことは可能だ」と述べ、政府の見解を説明しました。

核のごみの処分地選定は、北海道の2つの町村を対象に行われてきた第一段階の調査の結果、次の段階に進めるとした報告書案が先月示され、審議会でとりまとめに向けた議論が続いています。