【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(3月25日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる3月25日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナとは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

“キーウに弾道ミサイル攻撃 7人けが”

ウクライナ空軍は25日、ロシア軍が現地時間の午前10時半ごろ(日本時間の25日午後5時半ごろ)弾道ミサイル2発で首都キーウを攻撃し、いずれも撃墜したと発表しました。

ミサイルは、ロシアが一方的に併合したウクライナ南部のクリミアから発射されたとしています。キーウ当局は、弾道ミサイルの破片が中心部のペチェルシク地区などに落下し、これまでに7人がけがをしたとしています。

ペチェルシク地区の現場では、3階建ての教育施設の建物が大きく崩れたほか、周辺の建物の窓ガラスがいくつも割れていて、衝撃の大きさを物語っていました。キーウ当局はロシア軍による首都への攻撃は、この5日間で3回目だとしています。

NHKの取材班がいるキーウ中心部のホテルでは防空警報が鳴る直前に、爆発音のような大きな音が少なくとも2回、聞こえました。

ゼレンスキー大統領はSNSで「ウクライナには防空能力の強化が必要だと繰り返してきた。命を守ることを尊重する世界のすべての人たちが、このテロを防がなければならない」と訴えています。

被害にあった喫茶店の店員「わずか5秒から10秒ほどのこと」

ペチェルシク地区にある喫茶店では、店内に設置された防犯カメラが被害があった瞬間を記録していました。

映像では、店員と女性客2人が話をしていたところ、強い光がきらめき、3人が身をすくめる様子や、飛んできた窓ガラスがカウンターの上にあったガラスの入れ物などを押し倒す様子がうつされています。

この店員の女性がNHKの取材に応じ、被害があった瞬間について「はじめに爆発音がして、そのあと防空警報の音がしました。わずか5秒から10秒ほどのことでした」と話していました。

そして「鋭い爆発音のあとに店のガラスが割れるのを感じました。丸まってカウンターの下に隠れようとしました。腕を少し切りましたが、大きなけがはありませんでした。とても怖かったです。体がひどく震えました。お客さんは全員無事でした。これが何よりよかったです」と話していました。

崩壊した施設近くに住む女性「神に祈った」

キーウ中心部・ペチェルシク地区の、大きく崩壊した教育施設の近くに住む73歳の女性は「本当に怖かったです。こんなことは戦争が起きて初めてでした。神に祈りました」と話していました。

女性は、被害を受けた教育施設について「数年前まで、あの建物にある生徒たちのための寮で働いていました。何があったか知った瞬間、子どもたちがその場にいないようにと願うばかりでした」と話していました。

この女性の51歳の息子は、志願兵として前線に行き亡くなったということで、「息子の死はとても苦しいことでした。兵士たちがどんなに大変な思いをしてきたか私たちには分かります」と涙を浮かべながら話していました。

ウクライナのエネルギー施設を標的 ロシア軍の攻撃続く

ウクライナでは、ロシア軍がここ数日、エネルギー施設を標的にした攻撃を続けていて、東部ハルキウ州では最大20万世帯で停電が続いているなど深刻な影響が出ています。

ウクライナ軍は25日、ロシア軍が南部オデーサ州などに9機の無人機による攻撃を行い、このうち8機を撃墜したと発表しました。

オデーサ州の知事は、この攻撃でエネルギー施設が被害を受け、州内の一部の地域が停電になったと明らかにしています。

ロシア軍は連日、エネルギー施設を標的にした攻撃を繰り返していて、今月22日にはインフラ施設に対しては過去最大規模とされるおよそ90発のミサイルと60機以上の無人機による攻撃を行っています。

これにより全土で一時、少なくとも100万世帯が停電となり、このうち東部ハルキウ州では深刻な電力不足に陥っています。

ハルキウ州知事 “最大20万世帯で停電”

ハルキウ州の知事は25日、最大20万世帯で停電が続いているほか、今月末までハルキウ市などの一部地域で計画的な停電を行うと明らかにしました。

ウクライナ政府の高官は「ハルキウ市とハルキウ州の多くの施設で重大な被害が出ている」と述べ、復旧には時間がかかるという見通しを示しています。

ロシア軍は、エネルギー施設を狙った攻撃を続けることでウクライナの電力供給などに障害を与えるだけでなく、防空ミサイルを枯渇させようとしているという見方も出ていて、ウクライナにとっては防空能力の強化が引き続き課題となっています。

ロシアとウクライナ 双方がエネルギー施設へ攻撃 攻防激しく

ウクライナ空軍は24日、ロシア軍が合わせて57にのぼる巡航ミサイルや無人機などを使ってウクライナ各地に大規模な攻撃をしかけ、このうち43のミサイルなどを撃墜したと発表しました。

西部リビウ州では、ロシア側が極超音速ミサイルだとするキンジャール2発がエネルギー関連施設に着弾し火災が発生したということで、ロシア国防省は「電力施設やガス産業などに集中的な攻撃を行った」と発表しました。

一方、ロシアの独立系メディアは23日、ロシア中部のサマラ州にある製油所が無人機による攻撃を受けて損傷し、操業を停止したと伝えました。

ウクライナ側は最近、ロシアに対抗するため石油関連施設などを狙った無人機による攻撃を続けているとみられ、双方のエネルギー施設への攻防が激しくなっています。

英国防省 “ロシアのエネルギー生産に打撃”

イギリス国防省は23日「最近の攻撃でロシアの石油精製能力の少なくとも10%が破壊された可能性が高い。大規模な修復は時間や費用がかかり、制裁による影響も増している」と指摘し、ロシアのエネルギー生産に打撃を与えていると分析しています。

ゼレンスキー大統領 徹底抗戦を呼びかけ

ロシアの侵攻開始から2年と1か月となった24日、ウクライナのゼレンスキー大統領はSNSで「760日間にわたる全面戦争だ。ロシアはこの戦争に負けなければならない。それだけが命を確実に守る方法だ」と述べ、徹底抗戦を呼びかけました。

モスクワ テロ事件 プーチン大統領 “ウクライナが背後に”

ロシアの首都モスクワ郊外のクラスノゴルスク市にあるコンサートホールで22日に起きたテロ事件で、ロシアの連邦捜査委員会はこれまでに137人が死亡したと発表し、保健省は182人が病院で手当てを受けているとしています。

ロシア当局は25日までに、容疑者として拘束した11人のうち、実行犯とされる4人をテロに関与した罪で起訴し、国営通信は4人はタジキスタン国籍だと伝えています。

ロシア大統領府は24日、プーチン大統領がタジキスタンのラフモン大統領と電話で会談し、テロ対策を強化することで合意したとしていて、今回の事件について協議したとみられます。

今回の事件について、過激派組織IS=イスラミックステートとつながりのある「アマーク通信」は、ISの戦闘員による犯行だと伝えています。

一方、プーチン大統領は、ISには触れず、ウクライナ側の協力が背後にあったと主張し、「ナチスが占領地域で行っていた処刑のようだ」などと述べ、ゼレンスキー政権をナチズムだと根拠なく一方的に非難してきた主張と重ねるような発言を行っています。

ウクライナ側は全面的に関与を否定していますが、プーチン政権がこれを口実に軍事侵攻をより激化させるのかなど、ロシア側の出方が焦点です。