デング熱 ブラジルで700人以上死亡 一部の州で非常事態宣言

南米で蚊が媒介し、高熱などの症状を引き起こすデング熱の感染が例年にない規模で広がり、このうち、ブラジルでは、ことしに入って少なくとも700人以上の死亡が確認されていて、一部の州で地元の当局が非常事態を宣言するなどして、警戒を呼びかけています。

デング熱は蚊が媒介する感染症で、高熱や激しい頭痛、筋肉や関節の痛みなどを引き起こし、症状が重くなると死亡することもあります。

南米ではことし、例年にない規模でデング熱の感染が広がっていてこのうち、ブラジルではことしに入って感染が急激に拡大し、これまでに200万人以上が感染し、少なくとも715人の死亡が確認されています。

ブラジル保健省は感染者の数はすでに記録を取り始めた2000年以降で最も多くなっているとしています。

人口が集中する南東部のサンパウロ州やリオデジャネイロ州、首都ブラジリアなどで感染が広がっていて、地元の当局が相次いで非常事態を宣言して警戒を呼びかけています。

ブラジルの日本大使館や総領事館は、観光や出張などで現地を訪問する場合、外出の際には長袖・長ズボンを着用し、虫よけスプレーを使うなど感染対策を徹底し、感染が疑われる場合は直ちに医療機関を受診するよう呼びかけています。

気候変動やエルニーニョ現象影響か

ブラジルなどでデング熱が急拡大した背景には気候変動やエルニーニョ現象の影響で高温多湿の気候が続いていることが指摘されています。

現地では日本の企業が開発したデング熱のワクチンの公的な接種が始まっていますが、急速な感染の拡大で供給が追いつかない状態だということです。

このうちブラジルで人口が最も多いサンパウロ市では、先月末までの2か月間の感染者数がおよそ3万5000人と去年の同じ時期の25倍に上りました。

保健当局がドローンを使って水たまりの場所を把握し蚊の幼虫を駆除する薬を散布したり、車両から殺虫剤を散布したりする対策をとっています。

また、デング熱が発生した地区では、職員が住宅を回って、蚊の繁殖を防ぐ器具を設置しているほか、蚊が発生しやすい植木鉢などの定期的な掃除を呼びかけたりしています。

サンパウロ市のルイス・カルロス保健長官は「デング熱の感染の75%から80%は家庭内で起きる。感染を防ぐためにはまず市民の意識を高めることが重要だ」と話していました。