大相撲 尊富士 2敗目 優勝争いは千秋楽へ 大の里と2人の争い

大相撲春場所は14日目、単独トップに立つ新入幕の尊富士(たけるふじ)は勝てば新入幕の力士として110年ぶりの優勝が決まる一番でしたが朝乃山に敗れて2敗目となりました。このため、優勝争いは3敗を守った大の里との2人に絞られ、24日の千秋楽で決まることになりました。

大相撲14日目 NHKプラスで配信↓↓↓(2024年3月30日まで)

新入幕の尊富士が2敗目 大の里は3敗を守る

春場所の14日目、1敗で単独トップの新入幕、尊富士は大関経験者の朝乃山と対戦しました。

勝てば新入幕の力士として110年ぶりの優勝が決まる一番でしたが、尊富士は朝乃山に組み止められたあと、そのまま寄り切られて2敗目を喫しました。

取組後には右足を気にする素振りを見せ、車いすで運ばれたあと、救急車で病院に搬送されました。

追う3敗の力士2人のうち、大の里は小結・阿炎と対戦し、突き押しで攻め込んできた阿炎を冷静にはたき込みで破りました。

一方、豊昇龍は新大関・琴ノ若と対戦し、立ち合いで右に動いて攻めたものの、寄り倒されて4敗目を喫し、優勝争いから脱落しました。

この結果、優勝は2敗の尊富士と、3敗の大の里の平幕の2人に絞られ、24日の千秋楽で決まることになりました。

尊富士 休場した場合は?

尊富士が24日の千秋楽で休場した場合、不戦敗となって成績は12勝3敗となりますが、星の差1つで追っている大の里が敗れれば、尊富士の優勝が決まります。

過去に不戦敗を記録して、幕内で優勝した力士は、1場所15日制が定着した昭和24年の夏場所以降では、昭和48年九州場所の元横綱・輪島と、平成元年春場所の元横綱・千代の富士の2人ですが、ともに優勝を決めたあとでの休場でした。そのため、不戦敗を記録したあとに優勝を決めれば、1場所15日制になってからは初めてとなります。

一方、大の里が勝って12勝3敗で並ぶと、規定の上では優勝決定戦が行われることになります。これで、不戦勝となれば大の里の初めての優勝が決まります。

その場合、昭和22年に始まりこれまでに86回行われている幕内の優勝決定戦では初めて不戦勝で勝敗が決まることになります。

《14日目 中入り後の勝敗》

▽十両の時疾風に妙義龍は、妙義龍が「上手投げ」。

▽佐田の海に遠藤は、遠藤が「はたき込み」。

▽湘南乃海に正代は、湘南乃海が「小手投げ」。

▽御嶽海に竜電は、御嶽海が「突き落とし」で勝ち越しました。
竜電は負け越しです。

▽大奄美に北勝富士は、北勝富士が「突き落とし」。

▽琴勝峰に美ノ海は、琴勝峰が「はたき込み」。
美ノ海は負け越しです。

▽高安に狼雅は、高安が「押し出し」。

▽玉鷲に北の若は、玉鷲が「押し出し」。

▽豪ノ山に錦富士は、豪ノ山が「送り出し」。

▽阿武咲に翠富士は、阿武咲が「押し出し」で勝ち越しました。

▽金峰山に翔猿は、翔猿が「送り投げ」で勝ち越しました。

▽明生に一山本は、明生が「はたき込み」。
一山本は負け越しました。

▽平戸海に宇良は、宇良にまげをつかむ反則があって平戸海が勝ち越しました。
宇良は負け越しです。

▽朝乃山に新入幕の尊富士は、朝乃山が「寄り切り」で勝ちました。
尊富士は2敗に後退です。

▽大の里に阿炎は、大の里が「はたき込み」で3敗を守り、優勝争いに残りました。

▽錦木に王鵬は、王鵬が「小手投げ」。

▽隆の勝に大栄翔は、大栄翔が「引き落とし」。

▽若元春に熱海富士は、若元春が「寄り切り」で勝ち越しました。

▽大関 貴景勝は右胸などのけがで23日から休場。
大関 霧島が「不戦勝」です。

▽大関 豊昇龍に大関 琴ノ若は、琴ノ若が「寄り倒し」で勝ちました。
豊昇龍は4敗となって優勝争いから脱落しました。

青森県つがる市 尊富士の恩師や後輩が見守る

尊富士が中学卒業までの5年間通っていた相撲道場のある青森県つがる市では、恩師や後輩たちが取組を見守りました。

尊富士は、地元、五所川原市の隣に位置するつがる市にある相撲道場「つがる旭富士ジュニアクラブ」で小学5年生から中学卒業までの5年間、週6日通って相撲の稽古を積んでいました。

23日はつがる市にある生涯学習交流センターで、尊富士の優勝がかかった大一番を相撲道場の恩師や後輩たち、それに地元の人が集まって見守りました。

尊富士が朝乃山に負け足を引きずりながら土俵を後にする様子がテレビに映し出されると心配そうな表情で見ていました。

5年間、尊富士を指導した越後谷清彦さんは「負けたのはしかたがないが、けがが一番心配だ。学生時代はずっとけがで成績を残せていなかったので、けがだけは避けたいと本人も一番思っていただろう。あすは無理して出場はせずにけがを治すことに専念してくれたらと思う。ただ、これだけ大勢の人が応援してくれたということはありがたいし、本人に伝えたい」と話していました。

青森県五所川原市 尊富士の地元でパブリックビューイング

尊富士の地元、五所川原市では、市役所でパブリックビューイングが行われ、母親も取組の様子を見守りました。

五所川原市では、優勝がかかった大一番に臨む尊富士に地元から声援を送ろうと市役所本庁舎の1階ロビーに大型のスクリーンが設置されました。

パブリックビューイングは午後5時からの予定でしたがその1時間前には市民が集まり始め、取組の直前にはおよそ180席が満席となって立ち見の人も100人ほどに上りました。

集まった人たちは尊富士がスクリーンに映し出されると大きな拍手を送り、取組が始まると同時に大きな歓声を上げていましたが、尊富士が寄り切りで敗れ、右足をかばうように土俵を後にすると会場には悲鳴も上がり、多くの人が心配そうな表情で見つめていました。

会場には尊富士の母親と祖父母も駆けつけていましたが、優勝を争うほかの力士の取組の間も不安を隠せない様子で時折、涙を見せていました。

母親の石岡桃子さんは「取組の間のことをよく覚えていない。けがをしている様子だけがよみがえってくる。あすのことよりもけがが心配で気が気でなく祈るしかない」と話していました。

市内の30代の女性は「会場の盛り上がりを見て尊富士の注目度の高さを改めて実感した。もちろん優勝してほしいが、体が一番大事なのでとにかくけがが心配だ」と話していました。

力士談話

2敗に後退した尊富士は取組後、車いすで運ばれる際に「大丈夫」とだけ話していました。

勝った朝乃山は「前に出て相撲が取れたのがよかった。相手はスピードが速いので立ち遅れないように取ろうと決めていた。僕に勝ったら110年ぶりの新入幕の優勝だったのでどうしてもそれは避けたいと思っていた」と振り返りました。

3敗を守り、優勝争いに残った大の里は「相手の動きをよく見て対応することができた。優勝はないと思ってやっている。だんだん疲れは出てきているが、最後は気力なので最後の一番に集中して頑張りたい」と話しました。

一つ前の取組で尊富士が敗れたことについては「おととい、尊富士関が負けた時によけいなことを考えてしまって自分も負けてしまった。きょうは反省して頭の中で優勝はかき消して臨んだ」と話していました。

優勝争いから脱落した大関 豊昇龍は取材には応じませんでした。

新大関の場所で10勝目を挙げた琴ノ若は「相手の動きは頭に入れていた。目の前の一番に集中してやっている。変わらず集中してやるだけだ」と話していました。

大関経験者の高安は、2場所ぶりのふた桁勝利を挙げ「あまりよけいなことを考えず、自分の相撲を取ることだけ考えていた」と述べたうえで、「負けた相撲では内容の悪い相撲があった。来場所につながるいい相撲を取りたい。最後にびしっと気持ちよく終わりたい」と千秋楽の意気込みを話しました。

また、勝ち越しを決めた大関経験者の御嶽海は「いい流れでよかった。3連敗していたから長く感じた。体調はとてもいいし、相撲も悪くなかった」と手応えを口にしていました。

尊富士の22日の対戦結果や地元の様子はNHKプラスの見逃し配信で

大相撲 春場所 13日目(3月22日放送)

あっぷるワイド▽尊富士の地元では(青森局 3月22日放送)

尊富士の地元・青森県五所川原市では、新入幕としては110年ぶりとなる優勝争いの行方を見守ろうと、22日から市役所の本庁舎と金木総合支所でパブリックビューイングが始まりました。この様子は青森放送局の「あっぷるワイド」で詳しくお伝えしました。NHKプラスの見逃し配信でご覧いただけます。