【詳細】イスラエル ハマス “戦闘休止めぐる交渉再開”

複数のイスラエルメディアはイスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘休止などをめぐる交渉が再開されたと伝えました。
一方、ガザ地区では深刻な食料不足から飢きんが迫っていると指摘され、国連は一刻も早い停戦を求めています。

※イスラエルやパレスチナに関する日本時間3月19日の動きを随時更新してお伝えします。

交渉 “約6週間の戦闘休止を目指す” イスラエルメディア

イスラエルとハマスの間でカタールなどを仲介役として続く戦闘の休止と人質の解放などをめぐる交渉について、イスラエルメディアは18日、イスラエルの交渉団がカタールに到着し、ハマス側の交渉団も参加して再開されたと伝えました。

現在、協議されている案は女性や高齢者など一部の人質を解放する代わりに、およそ6週間の戦闘休止を目指すものだということです。

アメリカのニュースサイト、アクシオスなどは、ハマス側がさらなる人質の解放を条件に停戦についても合意に盛り込むことを求めていると伝えています。

ただ、停戦を認めないイスラエル側との主張には大きな隔たりがあるため、交渉の行方は予断を許さない状況です。

ガザ “戦闘激化すれば約110万人が飢きんに直面” 国連報告書

激しい戦闘が続き深刻な人道状況に陥っているガザ地区をめぐって、国連機関などが18日、報告書を公表し、ガザ地区北部では飢きんが間近に迫っているうえ、今後、南部ラファへの地上作戦を含め戦闘が激化すれば、地区全体の人口の半数にあたるおよそ110万人が飢きんに直面すると指摘しました。

報告書の公表を受けて、国連のグテーレス事務総長は18日、「到底考えられず、受け入れられず、正当化できない事態が起きるのを防ぐため、私たちは直ちに行動を起こさなければならない」と述べ、一刻も早い人道的な停戦を求めました。

仲介役担うカタール外務省報道官 “状況は流動的で困難”

戦闘休止などに向けた交渉で仲介役を担うカタール外務省のアンサリ報道官が首都ドーハでNHKのインタビューに応じました。

アンサリ報道官は18日にドーハで、戦闘の休止に向けた交渉が再開されると認めたうえで、「ハイレベルでの交渉が再開されることを前向きに捉えている」と歓迎しました。

そして、「人質への危険とパレスチナ人の流血の事態を止める合意に至るよう、歩み寄りを促したい」と述べ、ガザ地区の人道状況を改善するためにも、一刻も早い戦闘休止が必要だと強調しました。

一方で、交渉の見通しについて、アンサリ報道官は「合意に至ることを期待しているが、状況は非常に流動的で困難だ」として、合意に至るかどうかは予断を許さないとの見方を示し、「国際社会は状況の困難さを理解し、双方に歩み寄りを促すことが重要だ」と述べ、双方への働きかけを強めるよう、関係国に呼びかけました。

米 バイデン大統領 イスラエル首相に高官の派遣を要請

イスラエルのネタニヤフ首相がガザ地区南部で150万人近くが身を寄せるラファへの地上作戦の計画を承認する中、バイデン大統領は18日、ネタニヤフ首相と電話で会談しました。

会談後、ホワイトハウスで安全保障政策を担当するサリバン大統領補佐官が記者会見し、ラファから市民を安全に移動させる計画が示されていないなどとして、バイデン大統領がラファへの地上作戦の実施に深い懸念を伝えたことを明らかにしました。

そして、大規模な地上作戦に代わる計画を協議するため、イスラエル軍の高官などからなるチームを数日中にワシントンに派遣するよう要請し、ネタニヤフ首相も同意したということです。

サリバン補佐官は「ラファやいかなる場所もハマスにとって安全な逃げ場所にしてはならないというのがわれわれの立場だが、大規模な地上作戦は間違いだ。協議が行われるまでラファへの作戦は着手されないと信じている」と述べました。

米大統領補佐官 “イスラエルがハマスのナンバー3を殺害”

アメリカ ホワイトハウスで安全保障政策を担当するサリバン大統領補佐官は18日、ガザ地区でイスラム組織ハマスへの軍事作戦を続けるイスラエル軍が、先週、ハマスの軍事部門のマルワン・イーサ副司令官を殺害したと明らかにしました。

イーサ副司令官はガザ地区のハマスのナンバー3にあたるとされ、イスラエルが標的としていました。

EU 支援の搬入ルートの拡大など強く求める

ガザ地区をめぐる報告書を受けて、EU=ヨーロッパ連合の外相にあたるボレル上級代表と危機管理を担当するレナルチッチ委員が18日、そろって声明を出しました。

声明では、「飢えを戦争の兵器として使うべきではない。これは自然が引き起こしたものではなく人為的につくられた危機で、われわれにはこれを止める道義上の義務がある。状況はもはや、破滅的というレベルを超え、いますぐ対応することが必要だ」と述べ、強い危機感を示しました。

そのうえで、「空中からの投下や海上輸送など支援を届けるためのあらゆる手段を試みているが、地上からの無条件のアクセスの効率には遠く及ばない。支援を必要とするすべての人が自由に安全に人道支援を得られるよう、イスラエルに求める」として、支援の搬入ルートの拡大などを強く求めました。

ロンドン ガザ地区の住民に医療物資提供の慈善団体などがデモ

18日、ロンドンのイギリス外務省の前には、パレスチナに医療物資などを提供している慈善団体や、国際NGOの職員らおよそ30人が集まり、ガザ地区への食料の搬入を訴えました。

参加者はからの鍋をスプーンなどでたたき、「即時停戦」や「支援を運び込ませろ」と声をあげていました。

デモを呼びかけた「メディカル・エイド・フォー・パレスチニアンズ」のワード代表は、「ガザに飢きんが迫っている。北部の同僚たちは馬やろばの飼料を食べ、それが尽きたら鳥が食べる種を食べてしのいでいる。写真で姿を見るたびにどんどんやせ細っていく」と強い懸念を示しました。

そして、「必要な量の食料が搬入されず、飢餓が武器として使われている。イスラエル軍が陸路で北部への搬入を認めれば状況は直ちに改善される」と訴えました。

また、デモに参加したセーブ・ザ・チルドレンも18日、声明を発表し、「飢きんが宣言されれば、多くの住民にとって手遅れだ。これは人為的につくられた危機だ。境界線の片側には食料や水、医薬品を積んだトラックが待機し、反対側では子どもたちや家族が飢えに苦しんでいる」として、即時停戦と人道支援を急ぐよう訴えました。