高校野球 八戸学院光星が関東第一に勝利 延長戦タイブレークで

センバツ高校野球が甲子園球場で開幕し、開会式直後の第1試合は青森の八戸学院光星高校が東京の関東第一高校に延長11回タイブレークの末、5対3で勝って2回戦に進みました。

試合は、関東第一が5回に1点を先制したあと、八戸学院光星が7回に追いつき、1点を争う好ゲームとなりました。

そして、1対1の8回、関東第一がノーアウト二塁のチャンスで4番の高橋徹平選手がショートに内野安打を打ち、ショートが打球をはじいた間に、二塁ランナーが好判断でホームに返って1点を勝ち越しました。

これに対して八戸学院光星は9回、7番の三上祥司選手が犠牲フライを打って再び同点に追いつき、2対2のまま延長に入りました。

ノーアウト一塁、二塁から始まるタイブレークで行われた延長で、八戸学院光星は11回、1アウト二塁、三塁から途中出場で4番に入った萩原涼太選手がねらっていた変化球をうまく転がしてタイムリーヒットを打って1点を勝ち越し、さらに相手のエラーなどで2点を加えました。

八戸学院光星はそのウラの関東第一の攻撃を1点に抑えて5対3で勝ち、2回戦に進みました。

関東第一は持ち味の足を絡めた攻撃で相手を上回る9本のヒットを打ちましたが、敗れました。

《八戸学院光星 監督・選手談話》

仲井監督「苦しい展開も逆転できよかった」

八戸学院光星の仲井宗基監督は「相手に先制されて苦しい展開となった。関東第一の粘り強い攻撃を抑えながら、逆転することができてよかった」と笑顔で振り返りました。
また先発ピッチャーで力投した洗平投手については「調子が悪い中でも自分らしいピッチングを展開して相手打線を抑えてくれた」とたたえていました。

決勝打 萩原涼太 選手「とにかく落ち着いて打席に」

途中出場で延長11回、勝ち越しのタイムリーヒットを打った八戸学院光星の萩原涼太選手は「チームメイトから『冷静になったら打てる』と言われたので、とにかく落ち着いて打席に入ろうと思っていました。打つことができてうれしかったです」と笑顔で話していました。
そのうえで2回戦に向けては「甲子園は夢にしていた舞台で、楽しみながら戦いたいです。どんな相手よりも1点を多く取り、チームの勝利のために貢献できるよう、今後も準備していきたい」と話していました。

洗平比呂 投手「粘り強く戦えて成長を実感」

八戸学院光星の先発ピッチャー 洗平比呂投手は「できるだけ長くマウンドにいようという一心で投球していました。最後にタイブレークで味方打線が点を取ってくれて、粘り強く戦うことができてチームとして成長を実感しました」と振り返りました。
そのうえで今後に向けては「長いイニングを投げる中でフォアボールを多く出してしまう傾向があるので、今後に向けて投球を改善したいです。次の試合もチャレンジャーの姿勢を忘れずに、全員で戦って勝ちきっていきたいです」と話していました。

《関東第一 監督・選手談話》

米澤監督「勝ちきれなかったが大きな財産に」

関東第一の米澤貴光監督は「開幕試合をやることは光栄なことで選手たちもしっかり準備して挑んでくれた。勝ちきれなかったがチームとして大きな財産になるようにしていきたい」と話していました。
また、反発力を抑えた新たな基準の金属バットについては「全員が同じものを使っているので特に影響はなかった。守備面ではそれよりも風が強かったので、その影響を考えながら指示を出した」と話しました。
そのうえで夏の大会に向けては「きょうは気持ち的に弱い部分が出た。自分たちで勝ちきるという気持ちが大切だ」と課題を挙げていました。

高橋徹平 主将「ピンチやチャンス迎えられるよう練習」

関東第一のキャプテンで4番の高橋徹平選手は「開幕試合ということもあって観客がたくさんいて序盤は楽しめていました。ただ、終盤は自分のエラーもあってこういう結果になってしまいました」と悔やんでいました。
さらに、そのエラーについては「雰囲気に飲み込まれてしまい、焦りがあったと思います」と話していました。
そのうえで夏の大会に向けては「チャンスで1本が出なかったのはチームとしての課題です。ピンチやチャンスを強い気持ちで迎えられるように練習をしていきたい」と話していました。

畠中鉄心 投手「負けたままでは終われない」

関東第一の先発ピッチャー畠中鉄心投手は「開幕試合はすごい楽しい時間でした。いいリズムで攻撃につなげられればと思って投げました。ただ、チームを勝たせることができずにふがいないです」と振り返りました。
そして、夏の大会に向けては「負けたままでは終われないので夏も勝って甲子園に来て全国制覇をねらっていきたいです」と話しました。
一方、反発力を抑えた新たな基準の金属バットについては「外野の頭を越えたかなという打球でもあまり伸びずに助かりました」と、これまでの打球との変化を感じていたことに触れていました。

【解説】“飛ばないバット”の初戦 長打は両チーム計1本

甲子園球場の開場から100周年を迎えることしの大会の開幕試合。それだけでも注目を集めた一戦ですが、この試合ではもう1つ、注目されることしの大会ならではのトピックがありました。

それが「バット」です。

「飛ばないバットは、本当に飛ばないのか、それとも、思ったよりも飛ぶのか」

反発力を抑えた新たな基準の金属バットが導入された中で関心が高まる「初試合」となったのです。結果は両チーム合わせて17本のヒットのうち、シングルヒットが16本を占めて長打は敗れた関東第一のツーベース、1本だけでした。

関東第一は去年秋の公式戦でのチーム得点が1試合平均で出場校で最多の9.82ですが、新たなバットの導入に向けてチームとして小技や機動力に磨きをかけてきました。18日の試合でも盗塁を仕掛けたり、チャンスの場面でセーフティースクイズを何度も試みたりして「小技」を多用するシーンが目立ちました。

一方、長打が1本もなく勝った八戸学院光星もランナーが出るとバントでつなぐ場面が目立っていました。

試合後の取材では各社の記者からバットの影響を聞く声が相次ぎました。

これに対して両チームの監督や選手の反応はさまざま。

同じ関東第一でも米澤貴光監督が「全員が同じものを使っているので特に影響はなかった」と答えたのに対して、先発ピッチャーの畠中鉄心投手は「外野の頭を越えたかなという打球でもあまり伸びずに助かりました」と回答しました。

一方、八戸学院光星の仲井宗基監督は「長打がなかったが、この試合を通して長打の必要性をどう感じたか」と問われたのに対して、次にように答えました。

(八戸学院光星 仲井監督)
「やっぱり試合を動かすためには長打が必要だと改めて感じた。きょうは初戦の夢舞台で張り切りすぎて余計な力が入った部分があったのかなと思うが、しっかりと芯で捉えれば打球は飛ぶと思うので練習から修正していきたい」

打球が「飛ぶか、飛ばないか」は、ピッチャーやバッターの個々の能力や相性、球場に吹く風など多くの要因が関わるため、この1試合だけでバットが変わったことの影響を語るのは難しいのが実情です。

今後も「変わったバット」について深掘りしていく取材が必要だと感じた1試合でした。