ビッグモーター 下請け業者に法令違反多数 公取委が異例の勧告

中古車販売の「ビッグモーター」が、下請け業者に対して草むしりや店舗の掃除の強要など多数の法令違反を繰り返していたとして、公正取引委員会は、外部からの被害の申告窓口の設置や、180日以内の調査報告などを求める異例の勧告を出しました。

公正取引委員会は15日会見を開き、「ビッグモーター」について、下請け法違反の疑いで調査を行った結果と、行政指導の内容を公表しました。

全国のおよそ30の店舗を対象にした調査の結果、「ビッグモーター」は、下請け業者に対し、敷地の草むしりや店舗の掃除、車のワックスがけなどを強要していたほか、一方的な単価の大幅な引き下げ、取り引き停止を示唆する形で車検を受けさせたり、保険を契約させたりするなど、多数の法令違反が確認されました。

要求に応じなかった業者が実際に取り引きを打ち切られたケースもあったということです。

また発注の際、電話やアプリなどで下請けとやりとりし、法律で義務づけられている書面での記録を一切残していませんでした。

公正取引委員会は、「ビッグモーター」に対し、下請け業者から被害申告を受け付ける窓口を設置することや、180日以内の調査結果の公表と報告を求める異例の勧告を出しました。

公正取引委員会によりますと、1度の調査でこれほど多くの法令違反が確認されたケースは過去にないということで、調査を担当した菅野善文上席下請取引検査官は「全社的な法令順守意識の欠如がもたらした重大かつ異例の下請け法違反だ。今後も監視を続ける」と述べました。

下請けをしていた男性“ようやくここまで来た 引き続き監視を”

「ビッグモーター」が取り扱う車のクリーニングの下請けをしていた男性が、去年7月NHKの取材に応じ、本来は最低でも3万円以上で請け負う車のシートに残った犬の毛の処理を、無償で行うよう強要されるなど、ビッグモーター側の法令違反の実態について、語っていました。

期日どおり支払いが行われなかったり、自家用車の車検をビッグモーターの店舗で受けるよう強要されたりしたこともあったということで、男性は「原材料費が上がっている中で値上げをお願いすると拒否され、むしろペットの毛の処理をタダにしてと当たり前のように言わせる会社の風土は、ちょっと常識を超えていると思う」などと怒りをあらわにしていました。

公正取引委員会が勧告を行ったことについて、男性は「ようやくここまで来たが、ビッグモーターが被害を申告した事業者に真摯(しんし)に向き合うよう、引き続き監視してほしい」と話していました。

ビッグモーター「信頼回復に向け尽力して参ります」

公正取引委員会からの勧告を受けて「ビッグモーター」は、「取引先をはじめ、関係者の皆様に多大なご迷惑とご心配をおかけしたことを深くおわび申し上げます。今後、同様の事象が発生しないようコンプライアンスの順守を最優先に、信頼回復に向けてグループ全社を挙げて尽力して参ります」とするコメントを出しました。