大谷翔平 山本由伸が韓国に ドジャースは20日に大リーグ開幕戦

韓国・ソウルで今月20日と21日に大リーグ、ドジャースとパドレスの開幕シリーズが行われるのを前に、大谷翔平選手や山本由伸投手などドジャースの選手たちが15日午後、韓国に到着しました。

韓国到着時の様子

韓国のインチョン(仁川)空港には、15日午後2時半ごろ、大谷翔平選手や山本由伸投手などドジャースの選手たちを乗せたチャーター機が到着しました。

大勢のファンや報道陣が待ち受ける中、大谷選手がSNSで妻と紹介された女性と一緒に一番早く到着ロビーに姿を見せると、大きな歓声が上がりました。

また、山本投手も、笑顔を見せながらファンの声援に応え、一行はバスでソウル市内に向かいました。

これに先立って、ダルビッシュ有投手や松井裕樹投手などパドレスの選手たちも、15日未明に韓国入りしています。

両チームは、今月20日と21日にソウルにある韓国唯一のドーム球場「コチョク(高尺)スカイドーム」で行われる開幕シリーズに向けて、韓国のチームとの特別試合に臨むなどしながら調整を進めることにしています。

空港に多くのファン

ドジャースの選手たちを一目見ようと、インチョン(仁川)空港に駆けつけたファンからは、大谷翔平選手のプレーに期待する声が多く聞かれました。

このうち、40代の男性は「大谷選手は韓国でも非常にリスペクトされていて、国籍は違いますが、とても尊敬する選手です。あっという間に目の前を通り過ぎてしまいましたが、ハンサムでした。一生懸命フェアプレーする姿を見たいです」と興奮気味に話していました。

20代の男性は「もともとドジャースのファンですが、ドジャースに来る前から大谷選手のことは大好きでした。投手として出場できないのは残念ですが、ホームランをガンガン打ってほしいです」と話していました。

20代の女性は「大谷選手を見られて夢のようでした。数日後に試合を見に行くので、また会えるのが楽しみです」と話していました。

子どもと一緒に訪れていたソウルに住む日本人の男性は「韓国の人が日本の選手に注目してくれているのは、私たち日本人としてとてもうれしいです。韓国の試合では大谷選手にホームランを打ってほしいです」と話していました。

現地メディア「スーパースターが到着」

大谷翔平選手は、韓国到着後に自身のインスタグラムを更新し、飛行中の機内から撮影したとみられる市街地の風景の写真を投稿しました。

具体的な地名には触れていませんが、写真には、飛行機の絵文字3つと韓国の国旗が添えられています。

ドジャースの選手たちを乗せたチャーター機が到着した空港には現地メディアが大勢詰めかけて、生中継で伝えるテレビ局もあり「スーパースターが到着した」と大々的に報じられています。

球場などに選手のポスター 開幕戦に期待する声

今月20日に大リーグのドジャースとパドレスの開幕戦が行われる、ソウル市内の「コチョク(高尺)スカイドーム」では、球場につながる通路に大谷翔平選手など両チームの選手の写真があしらわれたのぼりが設置され、ドームの壁にも巨大なポスターが掲げられています。

球場の前を通りかかった20代の女性は「韓国で大リーグが開幕するのが楽しみです。おもしろい試合になってほしいです」と話していました。

20代の大学生は「大谷選手を応援しています。韓国に来てホームランを1本打ってくれたらいいと思います」と話していました。

このほか、ソウル中心部の大通りには開幕戦の大型ポスターが登場しました。

さらに、外国人観光客に人気の観光地、ミョンドン(明洞)にあるアパレルショップでは、ドジャースとパドレスの関連商品を集めたコーナーが設けられ、日本人観光客などが訪れていました。

日本人の男性客は「去年、WBC=ワールド・ベースボール・クラシックで一緒に頑張った大谷選手とダルビッシュ投手が、開幕戦でぶつかると思うので、すごく楽しみにしています」と話していました。

開幕シリーズを前に球場を大規模改装

首都ソウルの南西部にある韓国唯一のドーム球場「コチョク(高尺)スカイドーム」は、収容人数は1万6000人余りで、今回の開幕シリーズを前に大規模な改装が行われました。

ソウル市によりますと、大リーグのグラウンドキーパーと協議して人工芝を全面的に張り替え、照明をLEDにしてより明るくなったほか、選手が使うロッカールームなども改修されたということです。

一方、シリーズ中は大勢のファンなどが詰めかけることが予想されるため、ふだんの試合の3倍を超えるおよそ400人の警備員を球場の内外に配置するなど、安全確保に万全を期すとしています。

時差の影響を考慮し特別講習

大谷選手や山本投手などドジャースの選手たちはアメリカのアリゾナ州で13日にオープン戦を終えたあと14日の午前中にチャーター機でアメリカを出発し10時間以上かけて韓国・ソウルに到着しました。今後は16日に試合会場で初めての公式練習、17日に韓国プロ野球のチームと、18日に韓国代表との試合を行ったあと、20日のパドレスとの開幕戦に臨みます。

過密日程である上、アメリカと16時間ある時差の影響が懸念されることからドジャースでは睡眠の専門家を呼んで選手やスタッフを対象にした講習会を実施しました。

ロバーツ監督によりますと、出発の前日に準備するべきことや、機内で睡眠をとるべき時間などについて教わったということです。

21日の2戦目で先発が予定されている山本投手は「いろいろ対策を教わったので、サポートしてもらって試しながらやっていきたい」と話していました。

大リーグの公式戦 韓国では初めて

ソウルで開幕シリーズを戦うパドレスには、内野手のキム・ハソン(金河成)選手と、韓国のプロ野球チームから今シーズン移籍したコ・ウソク(高佑錫)投手の、2人の韓国の選手がいます。

一方のドジャースは、韓国初のメジャーリーガーのパク・チャンホ(朴賛浩)さんが、野茂英雄さんがデビューする前の年の1994年から在籍した経緯があるなど、韓国ともゆかりの深いチームです。

大リーグの公式戦が韓国で行われるのは初めてで、大谷翔平選手の人気もあって注目度が高く、今月20日の開幕戦の観戦チケットがことし1月に公式サイトで発売された際には、わずか8分で売り切れるなど、関心の高さをうかがわせました。

また、SNSなどでは本来の価格より高値で転売する書き込みも見られますが、主催者側は転売を認めておらず、入場する際に本人確認を徹底するとしています。

韓国メディア そろって大谷選手を称賛

韓国メディアは13日、大谷翔平選手が韓国入りを前に自身のSNSに掲載した画像を一斉に伝えました。

画像では、ユニフォーム姿の大谷選手が指でハートの形をつくる、韓国発祥ともされるポーズをとっていて、左上には韓国の国旗が表示されています。

これについて韓国の新聞の見出しは、保守系の有力紙、中央日報が「ファンサービスも特別級」としたほか、革新系のハンギョレ新聞も「大谷は韓国のファンにも真剣だ」とするなど、いずれも好意的に伝えています。

各メディアのネット版の記事でも「100年に出るか出ないかのすばらしい選手だ」とか「わが国のスポーツ選手たちも大谷選手の礼儀正しさや品格を見習うべきだ」などと、そろって大谷選手を称賛しています。

ソウルの書店に大谷選手関連の本

ソウル市内の大型書店では、大谷翔平選手のこれまでの歩みや野球への考え方を紹介する本が並べられています。

このうち、先週発売された「人生は大谷のように」の著者は、韓国の公共放送KBSで27年間にわたってスポーツ取材を続けてきたハン・ソンユン(韓盛允)記者です。

以前から日本の高校野球の大ファンで、大谷選手を高校生時代から注目していたというハンさんは、去年のWBC=ワールド・ベースボール・クラシックで日本と韓国の試合を取材した際に、大谷選手のふるまいを見て、この本を書きたいと考えるようになったということです。

特に印象的だったのは、大谷選手が試合後に韓国の選手たちに向かって一礼する姿だったと言います。

ハン記者は「日本の一方的な勝利で終わった試合でしたが、真剣な姿勢で礼儀をわきまえてあいさつする選手は、スポーツ記者をやっていて初めて見ました。こんな配慮ができる大谷選手は、野球が好きではない人でも学ぶところが多いと考えて、本を書きました」と話していました。

そして、今月20日に行われる開幕戦について、ハン記者は「ドームのフェンスまでの距離が近いので、大谷選手のパワーならホームランをたくさん打てるのではないでしょうか。開幕戦の2日間で少なくとも1本は打ってほしいです」と、大谷選手のホームランに期待していました。