TikTok 米国内での利用禁止につながる法案可決にCEOが反論

中国の企業が運営する動画共有アプリTikTokについて、アメリカ議会下院は安全保障上の懸念があるとして、国内での利用が禁止されることにつながる法案を可決しました。これに対し、TikTokはチュウCEOが反論する動画を投稿し、「法的な権利を行使してTikTokを守る」と主張しました。

議会下院は13日、中国の企業バイトダンスが運営するTikTokについて、「敵対国からの安全保障上の脅威」だとして、180日以内にアメリカ国内での事業を売却しなければ、アプリの配信などを禁止する法案を超党派で可決しました。

法案の可決を受けてTikTokはチュウCEOが反論する動画を公式アカウントに投稿しました。

このなかでチュウCEOは「この数年、私たちはあなたのデータの安全を確保し、プラットフォームが外部からの情報操作に影響されないよう力を注いできた」としたうえで、「この法案はアメリカの30万人を超える雇用を危険にさらし、あなたからTikTokを奪うことになる」と主張しました。

法案は今後、議会上院で審議が行われる予定で、チュウCEOは「私たちはあなたのために戦い、主張しつづける。法的な権利の行使を含むあらゆる努力をしてTikTokを守る」と述べ、利用者にも上院議員への働きかけなどを求めました。

TikTokは若者を中心に人気があり、この法案は表現の自由を制限するなどとして慎重な意見も多く、上院で可決するかは不透明な状況です。

年齢若くなるほど 利用禁止反対の割合多い傾向 米世論調査

アメリカで行われた世論調査によりますと、TikTokをめぐっては、年齢が若くなるほど政府が利用を禁止することに反対する人の割合が多かったほか、民主党支持層のほうが、共和党支持層よりも利用禁止に反対する傾向が強いことがわかっています。

世論調査機関「ピュー・リサーチセンター」が去年9月から10月にかけて行った調査によりますと、30歳未満の若い世代では、政府がTikTokの利用を禁止することに賛成した人は29%にとどまり、41%が反対する考えを示しました。

一方で、年代が上がるにつれて利用禁止に賛成する人の割合が増え、50歳から64歳では39%、65歳以上では49%が賛成しました。また、13歳から17歳に限定すれば、利用禁止に賛成したのは18%で、50%が反対する考えを示しました。

また、支持政党別では、共和党支持層の50%が利用禁止に賛成したのに対し、民主党支持層は賛成が29%にとどまりました。

こうした傾向から、秋の大統領選挙で再選を目指すバイデン大統領は国内世論に配慮して、中国に強い態度で臨む姿勢を維持しながら、TikTokをめぐっては、支持基盤である若い世代の支持を失わないよう注意を払わなければならない難しい立場にあります。

中国商務省「あらゆる必要な措置を講じる」

中国商務省の何亜東報道官は、14日の記者会見で「アメリカは、市場経済と公正競争の原則をきちんと尊重し、外国企業を不当に抑圧することをやめ、オープンで公平な環境を提供すべきだ。中国は合法的な権益を断固として守るため、あらゆる必要な措置を講じる」と述べました。

中国外務省の汪文斌報道官は、14日の記者会見で「アメリカ側の問題は、TikTokがアメリカの安全保障を脅かしているという証拠が見つかっていないのに、国家の安全保障を理由に不当に抑圧していることだ」と指摘しました。

そして「国家の安全保障を理由に、他国の優良企業を恣意(しい)的に抑圧できるなら、公正さや正義はどこにもない。他人のよいものを見て、それをどうにかして自分のものにしようとするのはぬすっとの論理だ」と非難しました。