ドジャースOP戦 大谷はノーヒット 山本は7奪三振も4失点と課題

大リーグ、ドジャースの大谷翔平選手が開幕前最後となるマリナーズとのオープン戦に2番・指名打者で出場し、4試合ぶりのノーヒットに終わりました。また、先発登板した山本由伸投手は5回途中4失点と課題を残しました。

大谷翔平 指名打者で先発も3打席ノーヒット

ドジャースはアリゾナ州グレンデールで行っているキャンプの最終日となった13日、マリナーズとのオープン戦に臨み、大谷選手は2番・指名打者で出場し、山本投手はオープン戦3回目となる先発マウンドに上がりました。

大谷選手は1回の第1打席、1アウトランナーなしの場面でフルカウントから6球目の高めの速球を捉えましたが、フェンス手前でライトがつかみスタンドにはわずかに届きませんでした。

第2打席と第3打席はいずれもストレートを見逃して2打席連続の三振でした。

大谷選手は3打数ノーヒットで4試合ぶりのノーヒットに終わり、オープン戦の打率は5割ちょうどとなりました。

山本由伸 7奪三振も4失点 開幕前に課題残る

一方、先発登板した山本投手は1回、先頭バッターをこの日最速の154キロのストレートで空振りの三振とすると、2人目をカーブ、3人目をスプリットと変化球で三振を奪って3者連続三振とし、上々の立ち上がりを見せました。

2回と3回もテンポのいいピッチングで無失点としましたが、オープン戦で初めて上がった4回のマウンドは3連打でノーアウト満塁のピンチを背負うと、続くバッターに初球をレフト前に運ばれる2点タイムリーヒットを許しました。

5回も先頭から連打を許したあと、課題にあげていたセットポシジョンでのコントロールが乱れてワイルドピッチで二塁三塁とピンチを広げました。

その後、マリナーズの4番・ガーバー選手にレフト線を破る2点タイムリーツーベースを打たれ、山本投手は2アウト三塁となったところでマウンドを降りました。

この試合、山本投手は4回3分の2イニングで7つの四球を投げ、7つの三振を奪いましたがヒット8本を打たれて4失点の内容で、大リーグ初登板が予定されている今月21日のパドレスとの開幕第2戦に向けて課題が残る結果となりました。

ドジャースの選手たちは14日に韓国・ソウルに向けて出発する予定です。

山本由伸「少しコースが甘かった」

山本投手は失点を喫した4回と5回のピッチングについて「少しコースが甘かったり、高さが低く投げきれていなかったりして、少しずつ真ん中に入ったボールがヒットになってしまった」と振り返りました。

オープン戦では、3試合に登板して防御率は8.38と課題を残したまま21日の大リーグ初登板を迎えることになりましたが、山本投手は「球数もしっかり投げられたし、試合での感覚もだいぶ出てきた。オープン戦の成績はそこまでよくなかったが、まあオープン戦なので落ち着いてやっていけたら」と前を向きました。

そして、大リーグでは初めてとなるキャンプを振り返って「濃い練習ができたので、そこはすごくよかったし、このキャンプの1か月がシーズンにいい方向になるように、引き続き頑張りたい。来週の試合ではもっとボールを操って、コントロールしていけたらいいピッチングができると思う」と話していました。

栗山英樹氏が訪問 “大谷が元気そうでよかった”

ドジャースのキャンプ最終日となった13日は、去年、WBCで監督として日本代表を優勝に導いた栗山英樹氏が練習に訪れました。

現在、プロ野球の日本ハムでチーム編成を強化するためのポストについている栗山氏は、球団運営などを視察するために3月、大リーグのキャンプ地を訪問していて、この日は、球団スタッフに案内されながら練習施設を見て回りました。

大谷選手もウォーミングアップを終えて引き上げる際、日本ハム時代からの恩師の栗山氏を見つけると笑顔で駆け寄り、握手を交わす場面もありました。

練習後にドジャースのオープン戦も観戦した栗山氏は、報道陣の取材に応じ「サイエンスと練習のミックスには、いろいろなチームの形があり、ドジャースの方向性も感じた。この10数年で野球がすごい勢いで変わってきているなかで、私たちがどういうものを構築していかないといけないのか勉強になった」と収穫を語りました。

また、大谷選手と直接会うのはWBCの決勝以来ということで「健康でさえいれば数字はついてくると思っていて、楽しそうにやっているかだけ確認に来たので、元気そうでよかった。とてもいい環境でやっているんだなと思ったし、ドジャースのユニフォームも似合っていた。シーズンが終わったときに、みんなが驚くような数字を残してくれるのを楽しみにしている」と笑顔で話していました。

チーム内で“やり投げ”など 山本流調整法が広がる

ことしのドジャースのキャンプで山本投手が見せた通称“やり投げトレーニング”。

山本投手にとってはオリックス時代から継続している調整法ですが、思わぬ形でチームメートに広がりを見せています。

山本投手はトレーナーの矢田修さんの指導のもと、オリックス時代から、羽がついたプラスチック製の棒をやり投げのように投げる練習や、ストレッチにブリッジの動きを取り入れるなど、一風変わった調整法を取り入れています。

今回のキャンプでも、球団スタッフとなった矢田さんとともにこの練習を続けていましたが、キャンプ終盤には、開幕投手を務めるグラスナウ投手やビューラー投手も志願して矢田さんに教えを求めるようになりました。

その影響はピッチャー以外にも広がり、主力野手のベッツ選手もストレッチや、やり投げのトレーニングなど、山本投手流の調整法を取り入れるなど広がりを見せています。

身長が1メートル75センチと大リーグでは小柄なベッツ選手は「日本で実績のある由伸がどうやってトレーニングしているかを見ていた。自分は体の大きさも彼と似ているし、同じやり方がうまくいくのではないかなと思った。体も変わったと感じるし、今後もうまくいくことを願っている」と効果を実感している様子でした。

投手として大リーグ史上最高額の大型契約を結び、大谷選手とともに「優勝請負人」としての役割が期待されている山本投手。

大リーグ1年目ながら、開幕第2戦の先発を任された25歳の右腕はそのピッチングだけでなく、調整法でも存在感を示しています。