春闘 日本製鉄 労組の賃上げ要求額上回る異例の回答方針固める

ことしの春闘で日本製鉄は、労働組合の賃上げの要求額を上回る形で異例の回答を行う方針を固めたことが分かりました。鉄鋼大手各社は、長年にわたって同じ水準の賃上げを続けてきましたが、その“横並び”が崩れる見通しです。

ことしの春闘で、日本製鉄の労働組合は、ベースアップ相当分として月額3万円の賃上げを要求し、オイルショックによる物価高の影響を受けた1975年以来の高い水準となっています。

関係者によりますと、これに対して経営側は、この要求額を上回る形で回答する方針を固めたということです。

鉄鋼大手各社は、昭和30年代以降、組合側の賃上げ要求に対し、各社が同じ水準で応じてきました。

ことしの春闘でも日本製鉄とJFEスチール、それに神戸製鋼所の労働組合が同じ月額3万円の賃上げを要求していましたが、経営側の回答では、その“横並び”が崩れる見通しとなりました。

異例となる回答を行うことについて、会社は、アメリカの大手鉄鋼メーカー「USスチール」の買収を発表するなど海外事業の強化を進める中、優秀な人材の確保や定着を図るためには、大幅な水準の賃上げを打ち出す必要があると判断したものとみられます。

ことしの春闘の集中回答日となる13日、労働組合に対して正式に回答する予定で、大手企業が要求額を上回る賃上げを打ち出したことで、ほかの業界にどのような影響を与えるかも注目されます。