ローマ教皇 ウクライナめぐり「白旗」発言 教皇庁は釈明

ロシアの軍事侵攻を受けるウクライナをめぐって、ローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇は、9日に公開されたメディアのインタビューで「最も強いのは国民のことを考え白旗をあげる勇気を持って交渉する人だ」などと述べました。これにウクライナ側は不快感を示し、ローマ教皇庁は降伏を促したものではないと釈明する事態となっています。

ローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇は、9日に公開されたスイスメディアのインタビューで「最も強いのは国民のことを考え白旗をあげる勇気を持って交渉する人だ。負けたと分かったときや物事がうまくいかないとき、交渉する勇気が必要だ」と述べました。

一般的に「降伏」を意味する「白旗」ということばを使ったことについて、ローマ教皇庁の報道官は「インタビュアーの質問を引用したもので、敵対行為をやめ、交渉する勇気によって達成される停戦を示すためだった」とコメントし、ウクライナ側に降伏を促したものではないと釈明に追われる事態となりました。

これに対してウクライナのクレバ外相は、SNSに「最も強いのは、善と悪の戦いにおいて両者を『交渉』と称し同じ立場に置くのではなく、善の側に立つ者だ。命を懸けて戦うウクライナと国民を支援するよう強く求める」と投稿し、不快感を示しました。

教皇はインタビューの中でみずから仲介役を担う意欲も改めて示しましたが、去年8月には帝政ロシアをたたえるような演説をしたとして、ウクライナではその姿勢に懐疑的な見方も広がっています。