野球日本代表の強化試合 被災地 輪島 七尾の小学生が始球式に

野球の日本代表の強化試合が6日夜、京セラドーム大阪で行われ、能登半島地震で被害を受けた小学生のバッテリーが始球式を務めました。

ピッチャーを務めた石川県輪島市に住む6年生の女子児童が、被災地への思いや支援への感謝の気持ちを込めてボールを投げ、大役を果たしました。

※記事の後段には、始球式を前にした思いをまとめた動画も掲載しています。

始球式務めた小学生 能登半島地震では1か月ほど車中泊に

始球式を務めたのはともに学童野球の選手で能登半島地震で大きな被害を受けた
▽石川県輪島市に住む徳野由子さんと
▽七尾市に住む扇瑠花さんの2人です。

小学2年生の時に野球を始めた徳野さんは、輪島市の学童野球チームでピッチャーを務めていて、去年7月に石川県代表として、ふだんは別のチームに所属する扇さんとともに、女子の全国大会に出場してベスト8まで進みました。

野球に打ち込む日々を送っていた徳野さんでしたが、今回の地震で被害を受けて1か月ほど車中泊を余儀なくされ、通っている小学校は避難所になるなど野球の練習どころではなくなったといいます。

そんな中、徳野さんに扇さんから「強化試合の始球式に参加する小学生を募集している。一緒に出よう」と誘いの連絡がありました。

この提案に徳野さんは「地元を元気づけたいし、支援してくれている人に感謝の気持ちを伝えたい」と応募を決断し、90人の中から選ばれました。

避難所で始球式務めることを報告すると

徳野さんは避難物資をもらいにいっていた避難所に始球式を務めることが決まったと報告すると思いもよらぬ反応があったといいます。

「みんな泣いて喜んでくれて、とてもうれしかった。『もっと感動させてやるぞ』『元気づけたい』と思った」。

徳野さんは始球式には被災した人たちへの思いと感謝の気持ちを込めて投げると誓いました。

チームでの練習は今も再開できていませんが、本番に向けて父親の喜和さんと近所の駐車場でキャッチボールをして準備を進めていました。

始球式を前に そして始球式では

そして迎えた6日、始球式前、京セラドーム大阪のブルペンで練習をしていると思いがけない出来事がありました。

去年のWBC=ワールド・ベースボール・クラシックで、日本の優勝にも貢献した西武の源田壮亮選手が訪れてキャッチャー役を買って出てくれ、一緒に写真撮影をしたほかサインももらったといいます。

多くのファンが見守る中行われた始球式の本番では阪神の中野拓夢選手が打席に立ちました。

徳野さんはアウトコース側に少しそれたものの力強いボールを投げ込み、キャッチャーを務めた扇さんがしっかりと受け止めると球場は大きな拍手に包まれました。

始球式を終えた徳野さんは「中野選手に当てたくなくてボールがそれてしまったが、気持ちは込められたので点数は80点です。能登の代表としてみんなに元気や勇気を与えられたかなと思う」と話していました。

ボールを受けた扇さんは「気持ちのこもったボールを受けられてうれしかったし、一緒に組んで応募してよかったと思った」と振り返っていました。

【動画】復興へ キャッチャーミットど真ん中めがけ 小学生の思い