トランプ氏 指名獲得の流れ決定づけるか スーパーチューズデー

アメリカ大統領選挙に向けた野党 共和党の候補者選びは5日、多くの州で予備選挙などが行われる大きなヤマ場、スーパーチューズデーを迎えます。日本時間の5日夜、投票が始まるのを前に、トランプ前大統領を追うヘイリー元国連大使は、南部テキサス州で演説を行い支持を訴えました。

11月のアメリカ大統領選挙に向けた野党 共和党の候補者選びは5日、全米の15の州で予備選挙や党員集会が一斉に行われる大きなヤマ場、スーパーチューズデーを迎え、日本時間の5日夜から投票が始まります。

トランプ前大統領と、党の指名獲得を争うヘイリー元国連大使は、スーパーチューズデー前日の4日、南部テキサス州で演説し、与党 民主党のバイデン大統領(81)とトランプ氏(77)を念頭に、「われわれは80歳の2人の大統領候補よりうまくやれる。負の感情や過去のしがらみを捨て、国民のために働ける新しい世代のリーダーが必要だ」と支持を訴えました。

これまでに行われた共和党の候補者選びでは、首都ワシントンを除く8つの州とアメリカ領バージン諸島でトランプ氏が勝利し、9勝1敗と、ヘイリー氏を大きくリードしています。

全米の世論調査の支持率の平均でも、トランプ氏がヘイリー氏を60ポイント以上の大差でリードしています。

トランプ氏は、バイデン大統領との本選挙を見据えた活動に集中する姿勢を見せていて、スーパーチューズデー前日に支持者に向けた集会や演説は行いませんでした。

スーパーチューズデーに予備選挙などが行われる15の州で、トランプ氏がヘイリー氏をさらに引き離し、党の指名獲得への流れを決定づけるのかが焦点です。

各種世論調査ではトランプ氏が大差でリード

政治情報サイト「リアル・クリア・ポリティクス」のまとめによりますと、
3月2日時点の各種世論調査の平均では、野党 共和党の候補者選びで、
▽トランプ前大統領を支持するとした人は78.7%
▽ヘイリー元国連大使は15.3%で、
トランプ氏がヘイリー氏に63ポイント余りの大差をつけてリードしています。

また、選挙情報サイト「ファイブサーティエイト」のまとめによりますと、
今回のスーパーチューズデーに投票が行われる州のうち、
州に割り当てられた代議員が全米でもっとも多い
◇西部カリフォルニア州での世論調査の支持率の平均は3月4日時点で、
▽トランプ氏が73.4%
▽ヘイリー氏が18.6%

代議員の数が2番目に多い
◇南部テキサス州では、
▽トランプ氏が78.4%
▽ヘイリー氏が14.4%
となっていて、トランプ氏の優位が際立っています。

専門家 “トランプ氏が高学歴や女性の支持得られるか注目”

スーパーチューズデーに行われる共和党の候補者選びについて、アメリカン・エンタープライズ研究所のカーリン・ボウマン名誉上級研究員は、トランプ氏が支持率で大きく優位だとしながらも、「これまで行われた候補者選びの結果から、トランプ氏は、大学卒業以上の高学歴の人や郊外に住む人、とりわけ郊外に住む女性からの支持に明らかな弱さが見られる。11月の本選挙での勝利に必要なレベルの支持に達していない」として、こうした人たちの支持をどれくらい得られるかが注目されると述べました。

さらに、スーパーチューズデー後のトランプ氏の選挙戦について、「本選挙をいっそう意識し、ヘイリー氏を批判するのではなく、バイデン大統領をさらに強く批判していくだろう」と述べ、メキシコとの国境管理の問題や経済を焦点に、バイデン大統領を攻撃していくという見方を示しました。

また、「トランプ氏は、どの層からの支持が弱いか明確に理解しており、今後、こうした人たちへの対策を行うだろう。例えば人工妊娠中絶などで、これまでの主張を、やや穏健なものへと変える可能性もある」とも述べました。

一方、ヘイリー氏が首都ワシントン以外の候補者選びで敗北したのに加え、大口の献金団体が資金提供を停止した中でも選挙活動を続けていることについて、「2028年の大統領選挙を意識した長期的な視野で戦っているのではないか」としたうえで、「大統領選挙の選挙戦は、とてつもなく難しいものであり、一度、経験すると大きく有利になる」と述べて、4年後の大統領選挙に向けて知名度の向上などをねらうものだという見方を示しました。

スーパーチューズデーとは

アメリカ大統領選挙に向けた党の候補者選びでは、2月から3月上旬の火曜日に多くの州で予備選挙や党員集会が一斉に行われる日を「スーパーチューズデー」と呼び、指名争いの行方を左右する最大のヤマ場として注目されてきました。

今回のスーパーチューズデーは3月5日で、政権奪還をめざす野党・共和党は15の州で予備選挙や党員集会を行います。

最も人口の多い西部カリフォルニア州も含まれていて、候補者を選ぶために全米に割り振られた総数2429人の代議員の、およそ3分の1がこの日1日で決まります。

また、勝利した候補者が州に割り当てられた代議員をすべて獲得する「勝者総取り方式」をとっている州も多いことから、代議員の獲得数に差がつきやすいしくみになっています。

一方の与党・民主党は、15の州とアメリカ領サモアで投開票を行います。

《共和党の予備選挙が行われる州》
▼バージニア州▼バーモント州▼ノースカロライナ州▼テキサス州▼アラバマ州▼メーン州▼マサチューセッツ州▼オクラホマ州▼テネシー州▼アーカンソー州▼コロラド州▼ミネソタ州▼カリフォルニア州

《共和党の党員集会が行われる州》
▼ユタ州▼アラスカ州

共和党 これまでの候補者選び

共和党では当初、トランプ前大統領とヘイリー元国連大使のほかにも候補者が乱立していましたが、ペンス前副大統領やニュージャージー州のクリスティー前知事らはことし1月までに撤退しました。

このため、候補者選びの初戦、中西部アイオワ州の党員集会は4人で争われ、
▼トランプ氏が51%の票を獲得して勝利し、
▼ヘイリー氏は19%と3位に終わりました。

アイオワ州で4位だった起業家のラマスワミ氏、2位につけたフロリダ州のデサンティス知事がその後、撤退し、候補者選びは、第2戦を前に早くもトランプ氏とヘイリー氏の2人に絞られました。

第2戦の東部ニューハンプシャー州の予備選挙ではトランプ氏がヘイリー氏に11ポイント余りの差をつけて勝利し、2月行われたヘイリー氏の地元、南部サウスカロライナ州の予備選挙でもトランプ氏が20ポイント余りの差をつけて勝利しました。

候補者選びは日本時間3月4日までに

▽8つの州と
▽首都ワシントン、それに
▽アメリカ領バージン諸島で投票が行われましたが、
ヘイリー氏が初めて勝利した首都ワシントンを除きすべてでトランプ氏が勝利しています。

これまでに獲得した代議員数は
▼トランプ氏が273人、
▼ヘイリー氏が43人で、
トランプ氏がリードを大きく広げています。

ヘイリー氏は、力を注いできた地元・サウスカロライナ州での敗北を受けても撤退はせず、スーパーチューズデーに向けて選挙戦を続けるとしてきましたが、大口の献金団体が資金の提供を停止するなど、厳しい戦いとなっています。