東京 足立区と葛飾区 2つの信用金庫が合併へ 都内では19年ぶり

東京 足立区と葛飾区の2つの信用金庫が、来年、2025年に合併することで合意したと正式に発表しました。将来の人口減少も見据えた対応で、信用金庫の合併は都内では19年ぶりとなります。

発表によりますと、足立区に本店を置く「足立成和信用金庫」と、隣接する葛飾区に本店を置く「東栄信用金庫」は、来年10月をめどに合併することで合意しました。

足立成和信用金庫は大正15年に設立され、店舗数は23、預金量は5700億円と、都内に23ある信用金庫の中で16番目です。

一方、東栄信用金庫は昭和13年に設立され、店舗数は10、預金量は都内の信用金庫で最も少ない1400億円です。

いずれも個人商店や中小・零細企業が主な取引先ですが、長引く低金利による貸し出し収益の伸び悩みや大手銀行への預金の流出に加え、将来の人口減少を見据えた対応が課題となっていて、合併によって経営基盤を強化し、店舗機能の見直しや事業者支援の強化に取り組むねらいです。

合併後の新たな名称は職員からの公募を通じて決める見通しです。

実現すれば信用金庫の合併は、都内では2006年に3つの信用金庫が「多摩信用金庫」となって以来、およそ19年ぶりとなります。

人口が集中し企業活動が活発な東京でも生き残りをかけた再編の動きが出てきたことで、全国で250を超える信用金庫の動向が注目されます。

足立成和信用金庫 理事長「手を取り合って地域のために」

記者会見した足立成和信用金庫の土屋武司理事長は「日頃から接点が多く、こんな信用金庫を目指していきたいと話す中で、2人で意気投合した。人数が増えてマンパワーが増えれば、やれることもいろいろあると思う。小粒なものどうしだが、お互いのよさをいっそう発揮できるようにしていきたい」と述べました。

そのうえで「10年後、20年後はどんどん人口が減少するという問題が考えられるが、地域が衰退するとは全く思っておらず、逆に地域を発展させていきたいと思っていて、そのためにお互いの手を取り合って地域のために汗をかけるような信用金庫を目指していきたい」と述べました。

東栄信用金庫 理事長「地域貢献を推し進めたい」

記者会見した東栄信用金庫の北澤良且理事長は「当初から合併を全く考えない立場ではなかったが、少子高齢化の波がすごい早さで進んだ。新しい社会の変化に向けて力を入れるためにはどうするか検討する中で新しい金庫を作ろうという考えにいたった」と述べました。

そのうえで、新たな信用金庫の目指すべき姿については「これまでも下町の金庫として取引先への伴走型支援を進めてきたと自負している。合併したあとも地域貢献を推し進めていきたい」と述べました。

一方、さらなる合併の可能性については「今はほかの信用金庫に合併を呼びかけることは考えていない。話があれば検討する時期がくるかもしれないが、現段階では来年10月の合併に向けて集中したい」と述べました。

専門家Q&A 信金で再編の動き進む?

今回の合併について信用金庫の業界に詳しい日本大学商学部の長谷川勉教授に聞きました。

Q.都内の信金の合併の背景に何があると考えているか。

A.もちろんコスト上の効果はある程度はあると思うが、今回の合併ではそれほど大きくなくて、むしろ相互補完的な、お互いに強いところを発揮するという意味で、合併に踏み切ったのではないか。もう1つは、いわゆる人材不足が関係しているのではないか。

知名度とかもろもろのことを考えると、ある程度の規模があった方が、人材獲得に有利に働くと考えられるので、そういった点も考慮して合併が行われることになったのではないか。

Q.今後、全国の信金で再編の動きが進む可能性はあるか。

A.信用金庫には「信金中央金庫」という中央組織があり、システムの共同開発などを行うことで個々の信用金庫の負担を分散していることなどから、コスト削減を目的とした再編はすぐには起きづらいとは思う。

一方、急速な人口減少、あるいは跡継ぎ不足や開業率の低さによる中小企業などの減少で、マーケットのサイズが小さくなってくる影響はある。

地域ごとの区分けがきちんとできている競争が激しくない地域では合併の動機はあまりないが、逆に、地域ごとの区分けができていないようなところでは合併する余地がある。

例えば、東京とか大阪のような大都市圏だと信用金庫どうしでも一定の競争環境があるし、メガバンクや地銀、あるいはオンライン系の金融機関との間で預金とか住宅ローン関係の競争が激化すると考えられる。

Q.競争環境が厳しくなる中で、信金の経営に求められるものは。

A.お金を貸しながら知恵を貸すという仕事が、メガバンクでも地銀でも信金・信組でも求められている。中小企業は中小企業、個人は個人なりの課題を持っている。

それを見つけてあげて、解決手段を提供するという、このひと言に尽きる。
中小企業の本業をどう支援していくかが重要になってくるし、それに対応できる金融機関だけが残っていくと思う。

Q.日銀がマイナス金利を解除して、金利のある時代になれば、預金金利の引き上げ競争が始まって、信金はより厳しくなるのではという見方もあるが。

A.普通預金、あるいは定期預金の面では、厳しくなることが想像される。この分野では、特にブランドがモノを言うと思う。

貯蓄から投資という形で預金そのものが減少して、投資へと向かう可能性も否定できない。

ただし、信金ならではの方法で地域に密着することによって、年金の獲得を増やすことはできる。

昔ながらの手法だが、営業手法としては年金を獲得することをじっくりと地味に頑張ってるところもあって、そういうところは割と資金量としては落ちていないというところで、ここがねらい目になってくる。