能登半島地震 必要な支援と課題は?首長発言から【2月28日】

能登半島地震の発生からまもなく2か月となります。

石川県の「災害対策本部員会議」には被災自治体の首長が参加し、それぞれ、いまの被災地の状況や今後の見通し、課題などを報告し、必要な支援なども訴えています。

2月28日に開かれた会議での被災自治体の首長の主な発言をまとめました。

※発言の順番に掲載しています。

輪島市 坂口茂市長「倒壊家屋の撤去課題 広域処理を適切に」

「先日、知事や総理にお越しいただき、なりわい再建などについて話を聞いていただくとともに、輪島塗の仮設工房などの具体的な支援策もお示しいただいた。県は300人分の被災地支援者向けの宿泊施設の新設を計画とのことで、本当にありがたい。復旧・復興が一層進むと考えている」

「応急仮設住宅の建設にも尽力いただき、着工数増加を図っていただいている。避難者の『一日も早く帰りたい』という思いに応えるべく、引き続きどうぞよろしくお願い申しあげる」

「『白米千枚田』の5月の田植えに向けて、県が市に代わり復旧主体となっていただくことに感謝する。全国にいるオーナー会員の皆様にも声をかけさせていただき、復興に向けたシンボル事業として取り組みたい」

「一つだけお願い。復旧・復興に向け、大量に発生する倒壊家屋の撤去が大きな課題輪島市の独自推定では建物約3万棟のうち48%が半壊していて、75万トンの震災ごみが発生する。広域処理を適切に実施していただいて、建物解体作業を順調に進められる環境を整えていただきたい。門前クリーンパークという産業廃棄物の管理型最終処理場がオープン前に被災した。6月末には完成する予定で、すみやかに県の許可をいただけると7月からここに受け入れが可能となり、80万立方メートルが受け入れられる。ぜひ県のほうで速やかな認可をよろしくお願いする」

建物の公費解体で自治体の所有建物は対象外となっているが大きな被害を受けていることに変わりない。自治体独自で対応することも困難で公費対象になるようお願いしたい。東日本大震災では認められたと聞いている。あわせて被災した漁船を災害ごみとして扱っていただきたい」

「一次避難者が2000人を切った。避難所も少しずつ集約されてきている。り災証明の発行も建物全体の19%まで発行済みとなった。被害調査の棟数も約3万棟のうち72%が調査済みとなっている。全壊が28%、半壊以上は53%という状況」

「水道復旧率は、全体のうち42%が復旧。引き続きしっかりと取り組んでいくので支援をお願いしたい」

珠洲市 泉谷満寿裕市長「応急仮設住宅 みさき小学校に50戸完成」

「発災から間もなく2か月。応急仮設住宅、28日新たにみさき小学校のグラウンドに50戸が完成。特に津波の被害が大きかった三崎町の方を中心、3月2日から入居を始めたい

「2月末までに完成した90戸含め、710戸が着工済みとなる。3月の着工も加速いただきたい」

「被害家屋の調査、一次調査が2月21日までに市内全域でほぼ完了。1万4948棟の調査を終えた。2月22日からは再申請のあった家屋について住宅を中心に内部の二次調査を始めている」

「り災証明書は2月26日から珠洲市全域を対象に交付しており、27日現在ですでに8910件、交付した。ここまでこれたのも自治体の応援職員のおかげで感謝申し上げる」

「ふるさと納税の代理寄付、愛媛県と愛媛県内の全20の市町で3月1日から代理寄付を始めていただけるとのことで感謝する」

穴水町 吉村光輝町長「セントラルキッチン27日にスタート」

「穴水町避難者の数は577名、避難所数は22か所。ライン及び電話による避難者登録は702名」

水道の復旧、上水道契約戸数の復旧率は94%、諸橋地区についても断水を解消。残る兜地区については29日までに通水できる見込み。本管通水は、町全域に通水することができることとなったが、各家庭では修繕が追い付いていないのが現状。町としてもサポートをしていきたい。地区管理水道は復旧率は85%で残りは102世帯」

「仮設住宅は申し込みは締め切っているが日に数件相談、申し込みがある。28日現在で560件の申し込みがある。町民農園で建設中の仮設住宅43戸は3月21日から入居が開始。3月9日、10日と入居者向けの説明会を実施する」

「り災証明、住家被害の調査件数は4081件、り災証明の発行は2260件、申請者に対してはほぼすべて交付済み」

「非住家の調査は951件が調査済み、この非住家のり災証明の申請は1313件あり、発行は28日から開始している。二次調査は275件の申請があり、106件が調査済み。結果については3月1日より順次、結果説明を行う予定」

避難者向けの食事改善、セントラルキッチンの運営を27日からスタートし、四か所の避難所向けに食事をお届けした。今後1日300食程度を供給できるよう取り組む

「かねてより要望していた支援者向けの宿泊施設、穴水町に50人分整備予定と知事よりご説明があった。ご尽力に感謝する」

能登町 大森凡世町長「通水時期 損傷が想定以上で“見直し”」

「上水の通水率は53%。町では『2月末時点で90%』を目指して取り組んできたが、想定より損傷箇所が多く、非常に作業に時間を要していて、厳しい状況だ。住民にも地区ごとに通水の見通しをお知らせしているが、それも見直しが必要となっている。引き続き人員の確保が必要なので、支援をお願いしたい」

「柳田温泉病院について。医療・介護の双方の機能持つため、補助率が異なる申請作業が複雑であるということで、財政的・事務的な負担を極力少なくしてほしいというのが医療機関、事業者の願い。能登町において、柳田温泉病院の早期復旧は極めて重要。1日も早い再建に向け、引き続き、前向きな支援と検討をお願いできれば」

県の義援金の配分業務について。1人5万円配分というのは大変ありがたい。町民の関心も高い。高齢化が進んでオンライン申請は非常に難しく、現在は、役場の窓口で『申請書の配布』のみを行っているが、町民からは『窓口で申請を受付してほしい』と言う声がある。また、県のコールセンターになかなかつながらず、役場に電話して直接来る人もいて、職員の手も取られていると状況。義援金の配分業務について、早期に体制の強化をしていただきたい」

七尾市 茶谷義隆市長「半壊と準半壊に支援の差 柔軟な対応を」

「断水の状況。通水世帯は1万7135世帯で、80%を超えた。り災証明書の発行に向けた現地調査はほぼ終わりつつある状況で、発行は全体の59%となっている」

「災害廃棄物の仮置き場は、2月26日から1か所増やして、今現在2か所となっている。もう1か所作りたいと考えている」

「り災証明書を発行している中で、『半壊』と『準半壊』で支援策が大きく違っていると感じる。例えば、公費解体を受けられるものと、解体せざるを得ないような状況でも自分で解体しないといけないものがある状況だったりする。仮設住宅も、自宅に住めないような状況でも入れないという状況もある。どう柔軟に対応していくかが課題だと思っている」

「り災証明書の発行で『準半壊』になると、2次調査を要望されるケースが多いと聞いている。『半壊』と『準半壊』の間のところを柔軟に対応することによって、2次調査の負担も減るのではないかと考えている」

志賀町 稲岡健太郎町長「応急危険度判定“ない”家も多数 困る」

「避難所の数20施設は、前回報告から変わっていない。避難者は前回報告から42人減って518名。減少傾向続いている」

「り災証明について。昨日現在、1次調査1万470棟、全体の80%まで調査した。発行は3600件となっている」

「断水の状況。8510戸まで上水道の通水が済んだ。率にして96.7%。引き続き、下水道の復旧を進めていきたい」

「ボランティアは、これまで累計700件のニーズの受け付け。参加してもらったボランティアは累計2500人。引き続きニーズの受け付け、及びボランティアの受け入れを進めていきたい」

「発災後、石川県に『応急危険度判定』をしていただいたが、調査件数は町内の全家屋の1割程度。災害ボランティアが被災した建物に入る際の可否の判断材料となっているが、『応急危険度判定が』が無い家が多いため、現場で非常に困っているという声を聞いている。判断が難しい建物について専門家派遣し、『応急危険度判定』をしていただきたい」

石川県の「災害対策本部員会議」の内容は県のホームページから誰でも確認できます。資料を確認できるほか、会議の動画を見ることもできます。