珠洲市大谷地区で唯一の学校、大谷小中学校です。
「遠くに行っちゃって寂しい…」離れた友だちと会える日は
石川県珠洲市の沿岸部、日本海に面した大谷地区。
地震で道が寸断され、一時、孤立状態となりました。
再開した学校に通う児童・生徒は、地震前の23人から9人ほどに減少。
残った子どもたちに、離れた友だちのことを聞いてみると…。
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「今度、会いにいく」
地震前は23人の子どもが通っていましたが、市外に避難した子もいます。
いま残っている児童・生徒は9人ほどです。
小学6年生の女の子に話を聞くと。
「一番仲のいい子が奈良県に行ってしまったから、さみしいです。今度、奈良県に会いに行きます」
会って何を話したい?と聞くと「学校のこと」と話していました。
「オンラインでできないことを」
再開された学校では、市外に避難した子どものためにオンラインでの授業も行っています。
教室に置かれたタブレット端末の画面の向こうに、避難先からリモートで授業を受ける小学5年の女の子がいました。
自宅が被災、家族と神奈川県川崎市に避難しています。
「リモートだから、みんなの顔が見えるのはうれしいけど、早く会いたい。実際に会って一緒に遊びたい」
特に何をしたい?と聞いてみると。
「オンラインではできないことをやりたい。体育をみんなでやりたい」
「いつか会えると思う」
学校の体育館は避難所になっていて、およそ30人が避難生活を送っています。
中にはここから教室に通う子もいます。
小学5年生の男の子は、自宅の被害についても教えてくれました。
元日は、こたつでゆっくりしてYouTubeの動画でも見ようかなとしていた時に地震が来たと言います。
「中身ぐっちゃぐちゃやけど、外見だけは地震前と一個も変わってない」
それでも、今の学校生活について聞くと「楽しい」、避難所での生活については「いつもより楽しい」と返ってきました。
理由を聞くと「友だちと遅くまで遊べるから」ということでした。
避難所にある支援物資の中身が毎回違うので、それを「福袋」みたいに思って見るのも楽しい、と話してくれました。
一方、困っていることは、やはり断水による影響です。
「風呂に入れない。風呂は1週間に1度しか入れない」
そして、地区を離れた同級生たちとの再会を、楽しみにしていました。
「会いたいけど、いつか会えるだろうと思っている」
保護者の1人は、こう話していました。
「子どもが転校したくないということで、大谷町に残りました。学校がどうなるのか不安はあるが、大谷町は良い場所で、できればずっと残りたい」
地域の人たちは
学校では朝、体育館に避難する人たちと子どもたちがラジオ体操をしたあと、授業が始まります。
地区では今も断水が続いています。
子どもたちに不自由なく水を使ってもらおうと毎日、地域の人たちが山に水をくみに行っています。
このおかげで、2月からは学校の3階にあるトイレを使うことができるようになりました。
住民の1人
「学校のトイレの水洗用の水とか、いろいろ使えますね。子どもの笑顔を見られるのはうれしいですよね」
また、子どもたちが喜ぶものを食べてもらおうと、ハンバーガーなど子どもたち限定のメニューをふるまっていました。
こどもたちの存在は、地域の人たちにとって今の生活の励みになっています。
避難所の責任者 川端孝さん
「この子らのためになんか、なんかしてやろう、なんかしてやろうとみなさん積極的に動いてくださいますし、子どもたちのおかげで、地域も元気を頂いています」