自動運転やスマートシティ、工場の自動化などの技術革新には、AIの性能向上が不可欠ですが、この分野に使う半導体の開発ではアメリカのエヌビディアなどが先行しています。
日本でも次世代のAI向け半導体の研究開発が本格化し、政府が450億円に上る支援を決めています。
その一環として、先端半導体の国産化を目指す「Rapidus」は、AI半導体の設計などに強みがあるアメリカのスタートアップ企業「テンストレントホールディングス」と協業し、量産に向けた開発を推進していくことになりました。
具体的にはテンストレントが演算処理に使われるAI半導体の開発に取り組み、Rapidusが北海道千歳市の工場で量産を目指すとしています。
会見で、Rapidusの小池淳義社長は、「産業ロボットやヘルスケアなど日本が得意とする分野に最先端の半導体を搭載し、世界標準を目指したい」と述べました。
また、テンストレントホールディングスのジム・ケラーCEOは、「われわれはスタートアップだが、スタッフは最も実力のあるメンバーをそろえている。協業によってより高性能な半導体を開発したい」と述べました。
Rapidus AI半導体量産へ米スタートアップ企業と共同開発推進
先端半導体の国産化を目指す「Rapidus」は、自動運転などに欠かせないAI=人工知能向けの半導体の量産に向けて、アメリカに本社があるスタートアップ企業と共同で、開発を推進していくことになりました。
テンストレント 去年1月に日本法人設立
テンストレントは、2016年にカナダで設立されたスタートアップ企業で、アメリカ・テキサス州に本社を置いています。
今回、来日したジム・ケラーCEO=最高経営責任者は、半導体大手のインテルや電気自動車メーカーのテスラなどアメリカの名だたる企業で半導体の設計を手がけてきたベテランのエンジニアです。
テンストレントはAI=人工知能向けに高度な演算処理などを行う半導体の設計や開発に強みを持ち、カナダや韓国、それにインドなどに拠点を持っています。ただ、自社の工場は持たず、製造はほかのメーカーに委託しています。
日本についても、AI市場が急速に拡大しているとして、去年1月に日本法人を設立したほか、去年11月には、先端半導体の量産化を目指す「Rapidus」と業務提携を結んでいます。
また日本国内に研究開発拠点を作る計画も明らかにしていて、今後、Rapidusとの協業を拡大させるものとみられています。