卓球 団体世界選手権 女子エース早田ひな パリ五輪で雪辱誓う

卓球、団体の世界選手権に出場した日本代表の選手たちが会見し、大会6連覇となった中国にあと一歩まで詰め寄り準優勝した女子のエース、早田ひな選手は「パリオリンピックでは勝負どころで勝てるように頑張っていきたい」と雪辱を誓いました。

今月16日から25日まで韓国・プサン(釜山)で開かれた卓球、団体の世界選手権で、日本は男女ともにパリオリンピックの団体とシングルスの出場権を獲得し、女子は決勝で、大会6連覇を果たした中国にあと一歩まで詰め寄る互角の戦いを見せ、5大会連続の準優勝となりました。

選手たちは26日、帰国後、都内で会見し、女子のエースとしてチームをけん引した早田選手は「全試合に出場させてもらい、決勝では1勝はできたが、シングルスの世界ランキング1位の孫頴莎選手とのエース対決になった時に力不足をすごく感じた。パリオリンピックに向けて、勝負どころで勝てるように残りおよそ半年、頑張っていきたい」と話していました。

平野美宇選手は「今まで出場した中で一番手応えもありつつ、悔しさを感じた大会だった。これまではメダルがとりたいと思っていたが、今回、銀メダルをもらい、初めて金メダルを目指したいと思ったので、もっと自分ができることの幅を広げて、オリンピックまでに安定して強い卓球ができるようにしたい」と意気込んでいました。

また、15歳ながらチームの躍進を支えた張本美和選手は「初めての世界選手権だったが、先輩に助けてもらいながら最後まで頑張ることができた。決勝で起用してもらったのに期待に応えられず悔しいので、もっと頑張らないといけない」と話していました。

一方、男子のエース、張本智和選手は準々決勝で中国に敗れたことを踏まえ「メダルを獲得できなかったことは非常に残念だ。今の男子はメダルが取れるかどうか紙一重のところだと思うので、確実にメダルを取るためにオリンピックまでのおよそ半年間、それぞれが世界ランキングを上げて、よいシード権を得られるよう頑張っていきたい」と話していました。

中国と力がきっ抗していることを示す

世界選手権で53年ぶりの世界一まであと一歩に迫った女子の日本代表。

結果だけを見れば5大会連続の準優勝でしたが、6連覇を果たした中国と力がきっ抗していることを示しました。

その鍵となったのは『相手が嫌がる攻撃』に徹したことでした。

日本の女子は団体の世界選手権で過去4大会、いずれも決勝で中国と対戦しましたが、勝ったのは2018年の伊藤美誠選手の1試合だけでした。

しかし今回の決勝は、第1試合を落としたあと2試合続けて勝利し、先に優勝に王手をかけて中国を追い詰めました。

過去7回戦って一度も勝てていなかった東京オリンピックのシングルスの金メダリスト、陳夢選手を第2試合で破ったエース・早田ひな選手は、今大会の中国のグループリーグ初戦、インド戦に勝利のヒントがあったと明かしました。

珍しいタイプのラバーを張ったラケットで特殊な回転のボールを打つインド選手の戦術を中国の選手が嫌がり、対応に苦しんだのです。

そこで陳選手との試合では、あえてふだん打たない回転や軌道の球を織り交ぜ、対策の隙をつく嫌がる攻撃をしたことが勝利につながったと話しました。

また、シングルスの世界ランキング2位の王芸迪選手にストレート勝ちした平野美宇選手も「中国の選手にはただ攻めているだけでは勝つことはできない。何が苦手なのかを1球ずつ考えながら打つことができ、それで相手が崩れてくれた」と正攻法ではなく相手の嫌がることに徹した結果が勝利の要因だったと話しました。

一方で、それだけでは超えられない大きな壁が依然としてあることも実感したと言います。

日本の選手が圧倒的な差を感じたと口々に話した、シングルス世界1位の孫頴莎選手の存在です。

日本は、第1試合に出場した15歳の張本美和選手、第4試合の早田選手がともにストレート負けを喫し、早田選手は孫選手について、「ボールの軌道、精神面、すべてが桁違い。今回も相手の予想外をつく前に技術的な部分でやられてしまった」と振り返りました。

パリオリンピックで中国を倒すために。

早田選手は「ここからオリンピックまでのおよそ半年間、孫選手だけにフォーカスしてやっていく。今大会で、今の中国は孫選手ほぼ1人で成り立っていると感じた。孫選手を倒さなければ、中国自体が揺るがないと感じたので、そこにどう亀裂をいれるかが大事になってくる」と中国のエースへの対決姿勢を鮮明にしました。

しれつなオリンピックの代表争いを経て、中国と互角に戦えるまでに成長した日本の女子。

あと1つ手が届かなかった悔しさをバネにパリの舞台に臨みます。