政治資金問題 政倫審 首相“最良の方法とられること期待”

国会は衆議院予算委員会で集中審議が行われ、立憲民主党は、自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる問題を受けた政治倫理審査会を公開で開催するよう重ねて求めました。これに対し岸田総理大臣は「説明責任を尽くす観点から最良の方法がとられることを期待する」と述べました。

自民 伊藤元金融相 中小企業の賃上げをめぐり

この中で自民党の伊藤 元金融担当大臣は、中小企業の賃上げをめぐり「『下請け企業はコストカットに努力せよ』という古い意識や慣習を乗り越える一手が必要だ。中小企業・小規模事業者が日本経済を支えるパートナーだと示すような下請け法の改正を検討すべきだ」と訴えました。

これに対し岸田総理大臣は「保護される受注者側を下請け事業者と称してきた下請け法の基本的な哲学に対する問題意識だと受け止めている。政府としても取引慣行の実態や価格転嫁の実情も検証しながら法改正の要否も含め幅広く検討を行っていく」と述べました。

公明 中野洋昌氏 政治資金 「連座制」めぐり

公明党の中野洋昌氏は、収支報告書に虚偽記載などがあった場合に国会議員も責任を負う「連座制」をめぐり「不正に対する抑止力としてペナルティーの強化が必要だ。政治家が会計責任者の選任や監督について相当の注意を怠った場合は罰金刑の対象にする法改正が必要ではないか」と指摘しました。

これに対し岸田総理大臣は「公明党の案は、議員の過失の有無を個別に認定することを前提に、より厳格な責任体制の確立を目指す案であり、事案の対応に応じた責任追及が可能になる点で参考になる。自民党としても具体案をまとめ、今の国会での法改正を目指し各党・各会派と議論していく」と述べました。

また、政治資金を監督する、第三者機関の設置を検討するよう求められたのに対し岸田総理大臣は「政治活動の自由とも関わる問題なので、どのような権限を持たせるのかや、独立性をどの程度持たせ、どう担保するかといった点を議論することが必要になる」と述べました。

立民 城井崇氏 政倫審の開催めぐり

立憲民主党の城井崇氏は政治倫理審査会の開催をめぐり「国民に説明責任を果たすと言いながら完全公開に反対するのは国民への裏切りだ。自民党総裁として完全公開を指示してもらいたい」と迫りました。

これに対し岸田総理大臣は「説明責任を尽くす観点から最良の方法がとられることを期待している。いずれにせよ、あらゆる場面を通じて説明の努力を促していくことは党の基本的な方針だ」と述べました。

立民 野田元首相「『裏金議員』には納税指示を」

立憲民主党の野田元総理大臣は、政治資金収支報告書に記載されていなかった収入について「使途不明のオンパレードみたいな修正もある。わざわざ税務署に行って修正申告するとは思えず、『裏金議員』には過去5年分の修正申告を行い納税義務を果たすよう指示すべきだ」とただしました。

これに対し岸田総理大臣は「政治資金が政治家個人に帰属するか、関係政治団体に帰属するかで課税関係は変わってくる。少なくとも党では議員個人が受領した例は具体的に把握しておらず、課税をどう考えるかは法律に従って対応すべき課題だ」と述べました。

また鈴木財務大臣は「議員個人に帰属している場合は政治活動に使ったものを控除して余りがあれば確定申告し、納税しなければならない。政治責任を果たすという意味でみずから課税関係を確認し、法令などにのっとった判断をすることで疑義を晴らしてもらいたい」と述べました。

岸田首相「SNSでは『確定申告ボイコット』厳しい目感じる」

一方、確定申告への影響をめぐり、岸田総理大臣は「納税の時期を迎え、国民の皆さんの強い懸念や不信を引き起こしていることに強い危機感を感じ、心からおわび申し上げる。SNSでは『確定申告ボイコット』というハッシュタグが付けられた投稿が多く見られることも承知しており、改めて国民の厳しい目を強く感じている」と述べました。

維新 青柳仁士氏 少子化対策の「支援金制度」をめぐり

日本維新の会の青柳仁士氏は少子化対策の「支援金制度」をめぐり「政府は社会保障にかかる国民負担率が上がらないことをもって『実質的な負担は生じない』と言うが、毎月支払う保険料が上がるのは国民にとっての『実質的な負担』ではないのか」と質問しました。

これに対し岸田総理大臣は「歳出改革による社会保険の負担軽減の範囲内で支援金を創出するので、一人一人の負担を考えた場合に毎月の支払いが増えるということはあたらない。収入や加入する保険の種類でデコボコが生じるが、全体として国民負担率は増えない」と述べました。

一方、加藤こども政策担当大臣は、児童手当の拡充や「こども誰でも通園制度」の導入など「支援金」を充てる事業によって子ども1人が、生まれてから18歳までに受けられる通算の給付額は平均でおよそ146万円増えるという見通しを示しました。
(公明・中野氏への答弁)

共産 赤嶺政賢氏 米軍普天間基地の辺野古移設めぐり

共産党の赤嶺政賢氏は、アメリカ軍普天間基地の名護市辺野古への移設をめぐり「政府は埋め立て土砂の調達場所を沖縄県内各地に広げたが、県内の調達可能量の7割を占める沖縄本島南部は沖縄戦最後の激戦地で、今も戦没者の遺骨が発見されている。この地域の土砂の使用はやめるよう指示すべきだ」と訴えました。

これに対し岸田総理大臣は「調達先は県内外に候補地が複数あり、現時点では確定していない。指摘された問題は大変重要だと認識しており、こうした事情も十分踏まえたうえで今後、防衛省で調達先を適切に判断していく」と述べました。

国民 浅野哲氏 政治資金パーティーをめぐり

国民民主党の浅野哲氏は政治資金パーティーをめぐり「パーティーの収入は法人税法の施行令に該当する収益事業の類型がないため、課税対象になっていない。政治資金パーティーを類型に定めるための法改正をすべきではないか」と指摘しました。

これに対し岸田総理大臣は「ほかの公益法人などで行われている類似の事業に課税した場合にどのような影響が生じるかや、営利企業との間で競合関係が生じ公平性が毀損されることはないかといった点を議論したうえで判断すべきだ」と述べました。

岸田首相 防衛装備品の第三国への輸出めぐり

また、次期戦闘機など、他国と共同開発する防衛装備品の第三国への輸出をめぐり、岸田総理大臣は「国際共同生産の規模が大きくなるほど調達価格の低下につながることから自国やパートナー国での完成品の調達に加え、第三国移転の推進が極めて重要だ。わが国の国益にもかなうと認識している」と述べました。
(維新・青柳氏への答弁)