ミュンヘン安保会議 米 ウクライナの軍事支援実現急ぐ方針強調

安全保障をテーマにドイツ南部のミュンヘンで始まった国際会議でアメリカのハリス副大統領は、野党の反対で暗礁に乗り上げているウクライナへの軍事支援の実現を急ぐ方針を強調し、支援の先行きに関して各国が抱く懸念の払拭(ふっしょく)に努めました。

ドイツ南部で16日から始まったミュンヘン安全保障会議には、40か国以上の首脳や100人以上の閣僚が出席して安全保障を巡って意見を交わしています。

会議の主要なテーマは、ロシアによる軍事侵攻が続くウクライナへの支援で初日は、アメリカのハリス副大統領が演説しました。

ハリス副大統領は「ウクライナが切実に必要としている重要な武器や資金の確保に取り組む。失敗はプーチン大統領への贈り物になる」と述べ野党・共和党の反対で暗礁に乗り上げている軍事支援を盛り込んだ緊急の予算案の成立を急ぐ考えを強調しました。

最大の支援国アメリカの支援の先行きに不透明感が漂う中各国の懸念の払拭に努めたものとみられます。

会議の議長を務めるクリストフ・ホイスゲン氏はNHKのインタビューに対し会議には支援に反対するアメリカの議員も参加していると明らかにしました。

その上で、ヨーロッパ側が、アメリカの議員などに対して支援を継続するよう働きかけるという見通しを示しました。

会議の2日目となる17日は、ウクライナのゼレンスキー大統領が出席して演説する予定でウクライナを支援する必要性を強く訴えるとみられます。

安保会議議長 “支援反対の米議員にも支援継続を働きかけへ”

ミュンヘン安全保障会議の議長でドイツのメルケル前首相の外交安全保障政策のアドバイザーを務めたクリストフ・ホイスゲン氏がNHKのインタビューに応じ、「各国の参加者は、ウクライナへの支援は国際法や国連憲章を守ること、ヨーロッパの安全を守ることにつながると理解している。ゼレンスキー大統領が参加し、その言葉に耳を傾けることは非常に重要だ」と述べ、今回の会議の意義を強調しました。

その上で「各国にはそれぞれ国内の事情もあるが、ウクライナへの支援が今後も継続されることを期待している」と述べ、欧米側の支援の先行きが不透明になるなか、各国の首脳や閣僚が支援の継続で結束を確認することに期待感を示しました。

また、ウクライナへの支援が議会で暗礁に乗り上げているアメリカについて「会議にはアメリカから大規模な議員団も参加している。中には支援に反対する議員もいる。彼らが『われわれはともに立たなければいけない』というメッセージを持ち帰るよう務める」と述べ、ヨーロッパ側からアメリカ議会の参加者に対し支援を継続するよう働きかけるという見通しも示しました。