「子ども・子育て支援法」などの改正案 閣議決定

少子化対策の強化に向けて、政府は16日の閣議で、児童手当や育児休業給付の拡充などを盛り込んだ「子ども・子育て支援法」などの改正案を決定しました。

改正案では▼児童手当について、ことし12月の支給分から所得制限を撤廃し、対象を18歳まで広げるとともに、第3子以降は月額3万円に増額するとしています。

また▼親が働いていなくても子どもを保育所などに預けられる「こども誰でも通園制度」を導入するほか、▼両親がともに14日以上、育休を取得すれば、最長28日間は実質的な手取り収入が減らないよう、育児休業給付を引き上げるとしています。

さらに▼家族の介護や世話などをしている子どもたちいわゆる「ヤングケアラー」についても、国や自治体による支援の対象とすることを明記し、対応を強化するとしています。

そして、▼一連の取り組みに必要な財源を確保するため、公的医療保険を通じて国民や企業から徴収する「支援金制度」を創設し、2026年度から段階的に運用を始めていくことなどが盛り込まれています。

政府は、少子化に歯止めをかけるには、若年人口が急激に減少する2030年代までがラストチャンスだとしていて、今の国会で改正案の成立を図り、施策を着実に実行に移していきたい考えです。

林官房長官「理解を得るべく引き続き丁寧に説明」

林官房長官は閣議のあとの記者会見で「わが国の少子化が危機的な状況にある中で、抜本的な給付の拡充と、全世代、全経済主体が子育て世帯を支える『支援金制度』などを一体的に整備するものだ」と述べました。

その上で「賃上げで国民所得が増えることも社会保険負担率を押し下げる効果があることから、実質的な負担が生じない状況を確保していく考えだ。理解を得るべく引き続き丁寧に説明していく」と述べました。

加藤こども相「法案の成立に努力したい」

加藤こども政策担当大臣は、閣議のあとの記者会見で「『こども未来戦略』の施策を着実に実施するため、給付の拡充と財政基盤の確保を一体的に整備する。将来を支える子どもや子育て世帯を、全世代、全経済主体が応援するという考え方に理解を得られるよう法案の成立に努力したい」と述べました。

その上で「支援金制度」について「これまでは実現できていなかった切れ目のない支援を可能とするもので、歳出改革などにより全体として実質的な負担が生じないようにする。さまざまな機会を捉えて制度の理念などの説明を尽くしていきたい」と述べました。

武見厚労相「全体として『実質的な負担』生じない」

武見厚生労働大臣は閣議のあとの記者会見で「『支援金制度』の創設にあたっては、歳出改革と賃上げによって、全体として『実質的な負担』が生じないと申し上げている。社会保障負担率が増加しないよう制度を構築する」と述べ、医療や介護の窓口負担割合の見直しを含め、歳出改革に向けた検討を着実に進める考えを示しました。

一方、記者団が「歳出改革で給付が削減されれば負担増になるのではないか」と質問したのに対し、武見大臣は「質の低下につながらないようにする配慮は常に同時並行的に行っている。自己負担の増加は保険料負担の増加要因にはならない」と述べ、窓口負担が増えても社会保障負担率は上がらないため、政府が説明する「実質的な負担」には含まれないと説明しました。