イスラエル軍が病院に突入 患者など退避余儀なくされているか

ガザ地区で軍事作戦を続けるイスラエル軍は15日、イスラム組織ハマスの戦闘員が活動しているなどとして南部ハンユニスにある病院に突入し、患者などが退避を余儀なくされているとみられます。
また、イスラエル軍は避難した多くの住民が身を寄せるラファへの地上作戦を行う構えを崩しておらず、国際社会からの懸念が高まっています。

イスラエル軍は15日、南部ハンユニスにあり、多くの住民が避難しているナセル病院に突入したと明らかにしました。

イスラエル軍のハガリ報道官は「ナセル病院内に人質の遺体があるという信頼できる情報がある」と述べた上で、ハマスの戦闘員が病院を拠点に活動しているなどとして作戦を正当化しました。

現地で撮影されたとする映像には天井が激しく壊れ、白い煙が立ちこめる病院内で医療従事者などがけが人を運んでいる様子が写っています。

中東の衛星テレビ局アルジャジーラは患者などが退避を余儀なくされたうえ、多くの人が拘束されるなど「壊滅的な状況だ」と伝えています。

一方、イスラエル軍はガザ地区で最も南にあり、北部や中部から避難してきた住民など140万人以上が身を寄せるラファへの地上作戦を行う構えを崩していません。

フランスの大統領府によりますとマクロン大統領は14日、ネタニヤフ首相との電話会談で「住民の強制移住をもたらし、国際的な人権侵害となる」として、断固反対する姿勢を示したということです。

15日にはオーストラリア、カナダ、ニュージーランドが「ガザ地区の住民にはもうどこにも避難するところがない。地上侵攻をしないよう強く求める」とする共同声明を発表しました。

イスラエルは、住民の退避とハマスの壊滅を両立させる計画を策定するとしていますが、国際社会からの懸念の声が高まっています。