「どうしても協力したかった」地域のために尾狩神楽を舞う

「どうしても協力したかった」

男性は、隣町の地域のために“舞う”ことに決めました。

伝統を残すために新たな形を模索する地域と男性の思いとは。

宮崎県高千穂町の中心部からおよそ6キロ南に位置する尾狩(おがり)地区では、20人ほどが暮らしていて、五穀豊穣に感謝して神楽を奉納する伝統の「尾狩神楽」が受け継がれてきました。

しかし、地域の高齢化で後継者が不足し、5年前には、ひと晩を通して奉納する「夜神楽(よかぐら)」を中止せざるをえなくなるなど、存続の危機に直面しています。

舞い手たちからも「もう足が動きにくい」や「あと何年、舞えるかわからない」などの不安の声が聞かれています。

こうしたなか、舞い手などでつくる保存会が存続のために声をかけたのが、隣接する日之影町の職員、飯干樹(いいぼし たつき・24)さんでした。

飯干さんは高校を卒業して一度は地元を離れましたが、地域の助け合っていく雰囲気などを大切にしたいと、数年前に日之影町に戻ってきました。

保存会の人たちの指導のもと、神楽本番の前に3日間、仕事終わりに練習し、先月20日には、県内外から集まった50人以上を前に舞いを披露していました。

地元の女性は「やっぱり自分たちの神楽が一番いいと思いました」と話していました。

飯干さん
「地元に帰ってきた中でこのようなお話を頂いてるというのもあって、どうしても協力はしたいという思いでした。アットホームな感じで楽しく舞えました。どんどん舞えるものを増やしていくことで、神楽を続けることに少しでも尽力できたら」

保存会の代表の甲斐範一さんは「飯干さんが一生懸命舞ってくれて心強く思います」と話していて、保存会では、地元を離れて暮らす出身者や、他の地区からの応援を通じて今後もふるさとの神楽を守っていきたいとしています。