輪島 被災建物の公費解体の個別相談始まる 問い合わせ約500件

能登半島地震で被害を受けた建物について、市や町が所有者に代わって解体・撤去を行う「公費解体」に向けた個別相談が、12日から輪島市役所で始まりました。

今回の地震で石川県では、これまでに6万棟余りの住宅で全壊や半壊などの被害が出ていますが、多くの建物が手付かずの状態となっています。

こうした中、石川県は、半壊以上の被害にあった建物について、市や町が所有者に代わって解体・撤去する方針を示していて、輪島市役所では、12日から住民などを対象にした個別相談が始まりました。

市によりますと、これまでに解体が必要な住宅の持ち主や、周囲の人などからの問い合わせがおよそ500件あったということで、12日朝は、事前に予約を済ませた人たちが市役所の窓口を訪れていました。

窓口では、
▽自宅や会社が全壊し、隣の家のほうに傾いているので急いで解体したいという相談や、
反対に、
▽隣の家が自分の家のほうに傾いていて、解体してほしいが隣の家の人と連絡が取れず、どうすればよいか
などといった相談が寄せられていました。

相談に来た60代の男性は「会社と自宅が全壊状態で相談に来ました。必要な書類などが分かったので、早く準備したいと思います」と話していました。

この相談会は予約制で、輪島市では2月21日まで市のホームページなどで申し込みを受け付けています。

建物解体で大量の「災害廃棄物」の処理が課題に

今後、建物の解体が進むことで大きな課題となるのが、大量に発生する「災害廃棄物」の処理です。

石川県によりますと、県内では2月9日の時点で、能登地方を中心に6万225棟の住宅で被害が確認され、今後発生する災害廃棄物の量は県全体で240万トンに上ると推計されています。

これは、石川県の年間のごみの排出量のおよそ7年分に相当します。

自治体別では、▽最も多い珠洲市で、市の年間の排出量の132年分、▽穴水町で96年分と推計されています。

珠洲市は2月1日に市内の鉢ヶ崎海水浴場の駐車場に仮置き場を開設し、災害廃棄物の受け入れを始め、2月17日からはさらにもう1か所増やすことになっています。

災害廃棄物の処理は、過去の大規模な災害でも大きな課題となり、2016年の熊本地震での熊本県内の災害廃棄物の量は300万トン余りでした。

このときは県外の自治体や民間事業者と連携して広域処理などを進めましたが、すべての処理が終わるまでにおよそ2年かかりました。

石川県は、それぞれの自治体の仮置き場から陸上や海上で輸送し、県内外の処理施設を活用することで、2年後の2026年3月末までに終えることを目指しています。

馳知事は「放置すると復旧・復興の足かせになる。県内の業者だけでは、どう考えても足りないので、全国から支援をいただき、迅速に処理したい」と述べていて、福井県の杉本知事は2月に、福井県内の処理施設で一部を受け入れる考えを伝えています。