パキスタン総選挙開票進む 野党側は「勝利宣言」の動画公開

開票作業が進められているパキスタンの総選挙は、クリケットの元スター選手で汚職の罪などで拘束されているカーン元首相が率いる野党系の候補が獲得議席でリードしていて、現地メディアは予想を上回る優勢だと伝えています。

また、野党「正義運動」は、現地時間の9日夜11時半すぎ、AIで作成したとするカーン元首相の1分30秒ほどのメッセージ動画をSNSに公開し、勝利を宣言しました。

パキスタンの総選挙は、クリケットの元スター選手で若者からの人気が高い野党、「正義運動」を率いるカーン元首相が汚職の罪などで有罪判決を受けて立候補できなくなり、党の候補者も無所属での出馬を余儀なくされるなか、8日に行われました。

選挙戦では軍と良好な関係を持つとされるシャリフ元首相が率いる与党「イスラム教徒連盟シャリフ派」が再び政権を担うのかどうか、注目されていました。

しかし選挙管理委員会によりますと、266の選挙区のうち現地時間の9日夜10時半の時点で236か所の開票が終わり、▽カーン氏率いる野党系の候補者を中心とした無所属が96議席、▽シャリフ氏の与党が66議席を獲得したということで、現地メディアも、予想を上回る野党の優勢だと伝えています。

専門家は、カーン氏への選挙直前の有罪判決は「弾圧だ」として、有権者の間で与党に対する反発が強まったことが背景にあるとしています。

パキスタンではおととしの大規模な洪水以降、深刻なインフレや外貨不足など経済の混乱が続いています。

いずれの政党も単独では政権を樹立することは難しいとみられ、今後連立に向けた交渉が進められるとみられます。

カーン元首相 勝利を宣言

優勢が伝えられている野党「正義運動」は、現地時間の9日夜11時半すぎ、AIで作成したとする、カーン元首相の1分30秒ほどのメッセージ動画をSNSに公開し、勝利を宣言しました。

動画では汚職などの罪で有罪判決を受けて拘束されているカーン氏の映像と音声で「勝利を祝福します。皆さんが投票に行ってくれると信じていました。大規模な投票には誰もが驚かされました」などとするメッセージが流れ、選挙戦で勝利したとアピールしています。

カーン氏の陣営はこれまでにも、AIで作成したとするカーン氏のメッセージ動画を公開して、選挙での支持を呼びかけてきました。