福島第一原発 汚染水浄化装置から水漏れ 弁閉め忘れた可能性

福島第一原子力発電所で7日、汚染水浄化装置から放射性物質を含む水が外部に漏れ出たトラブルで、本来、閉まっているはずの手動式の弁が開いていたために水が漏れ出ていたことがわかり、東京電力は、作業員が弁を閉め忘れた可能性もあるとみて原因を調べることにしています。

7日午前、福島第一原発にある汚染水の浄化装置で、配管内の洗浄作業を行っていたところ、屋外にある排気口から、放射性物質を含む水が漏れ出しました。

東京電力は漏れ出た水の量はおよそ5.5トンで、セシウム137などのガンマ線を出す放射性物質が国への報告基準の1億ベクレルを大きく超えるおよそ220億ベクレル含まれていたと推計しています。

また、漏えいが見つかった時間帯に、大気中の放射性物質の濃度を測るダストモニターの値が、一時、ごくわずかに上昇しましたが、現在は元の値に戻っていて、放射線量を測るモニタリングポストや近くの排水路のモニターの値にも有意な変動はないということです。

東京電力は8日夕方、水がしみこんだと見られる土壌の回収を始めました。

また、東京電力が調べたところ、洗浄していた配管には手動で開閉する弁が16か所あり、作業の際に一度開けたあと再び閉めることになっていたものの、このうち10か所が開いたままになっていて、水が漏れ出ていたことが分かりました。

東京電力は、作業員が弁を閉め忘れた可能性もあるとみて原因を調べることにしています。

原子力規制庁 東京電力に口頭指示

原子力規制庁は8日、汚染の拡大を防ぐため、土壌にしみこんだ分も含めて漏えいした水を可能なかぎり回収するとともに、近くにある排水路などの監視を強化するよう、東京電力に対して口頭で指示したということです。

福島県 東電に申し入れ

福島県危機管理部の渡辺仁部長は8日午後、東京電力福島第一原発の田南達也所長を県庁に呼び、放射性物質を含む水が漏れ出たトラブルを受けて申し入れを行いました。

申し入れでは、このトラブルを「極めて遺憾」とし、設備・作業・管理などさまざまな視点から調査や分析を行って再発防止を徹底することや、環境への影響の有無や、今後の対策について県民の目線で正確で分かりやすい情報発信に取り組むことなどを求めています。

田南所長は「今回の事象を重く受け止めています。原因の分析や再発防止を徹底し今回のようなことが二度と起こらないよう全力で取り組んでまいります」と述べました。

中国「慢性的な問題 改めて示した」

東京電力福島第一原子力発電所で7日、汚染水浄化装置の排気口から水が漏れ出しているのが見つかったことについて、中国外務省の汪文斌報道官は8日の記者会見で「東京電力の内部管理が混乱して無秩序であることなど、慢性的な問題を抱えていることを改めて示した」と非難し、日本側に透明性のある情報の公開と責任ある説明を求めました。

その上で「長期的で効果的な国際モニタリング体制を確立する必要性と重要性を改めて浮き彫りにした」と述べました。

福島第一原発にたまる処理水の放出を受け、中国は日本産の水産物の輸入停止措置を続けていて、日本政府は中国に対して早期の撤廃を継続して呼びかけています。