将棋「王将戦」第4局 藤井聡太八冠 ことし最初のタイトル防衛

将棋の八大タイトルの1つ、「王将戦」の第4局が都内で行われ、藤井聡太八冠(21)が挑戦者の菅井竜也八段(31)に勝ち、ことし最初のタイトル防衛を果たすとともに、連続でのタイトル獲得を「20期」にのばして歴代1位になりました。

【ノーカット動画】藤井聡太八冠 会見【17分13秒】

「王将戦」七番勝負はここまで藤井八冠が3連勝し、タイトル防衛まであと1勝に迫っていました。

第4局は7日、東京 立川市で始まり、2日目の8日は後手の菅井八段が7日の対局終了時に次の1手を書いた「封じ手」から再開しました。

対局は「飛車」を交換したあと、互いに攻めの機会をうかがう、こう着した状況が続きます。

その後、藤井八冠は守りを固めながら、大駒を中心に攻め手を緩めず、形勢を有利にします。

菅井八段も最後まで粘りを見せますが、午後5時52分、121手までで投了。

藤井八冠が4勝負けなしで七番勝負を制して「王将戦」3連覇を果たし、ことし行われる8つの防衛戦のうち、最初のタイトル防衛となりました。

この結果、連続でのタイトル獲得を「20期」にのばし、大山康晴 十五世名人の記録を上回って歴代1位となりました。

一方、菅井八段は初めての「王将」タイトル獲得を目指しましたが、白星をあげることはできませんでした。

藤井八冠は現在、並行して行われている「棋王戦」五番勝負で伊藤匠 七段(21)の挑戦を受けていて、次の第2局は2月24日に金沢市で行われます。

藤井八冠「練習で『振り飛車』相手に経験積んだ」

対局後、藤井聡太八冠は会見に臨み、菅井竜也八段との「王将戦」を振り返りました。

菅井八段とのタイトル戦は去年の「叡王戦」以来で、「叡王戦では序盤でペースを握られてしまう将棋があったり、中盤の難しい局面で急所をつかめずに時間を多く使ってしまうことがあったりしたので、練習で『振り飛車』を相手に経験を積み、序盤で深く考えて臨んだ。それが今回、生きたところもあった」と語りました。

その上で、「対局が少ない状態で開幕を迎えたが、大きくコンディションを崩さずに戦っていけたのは手応えのある結果だったと思う」と話していました。

また、連続でのタイトル獲得を「20期」にのばし、大山康晴十五世名人の記録を超えたことについて、「大山先生は伝説上のかたというイメージはあるが、奨励会時代に棋譜を並べていて、当時から先進的な将棋を指されていた印象があり、勉強になった。記録は意識していなかったが、光栄なことと思う」と話していました。

菅井八段「研究不足が結果に出た」

一方、敗れた菅井竜也八段は「1日目から苦しくなる将棋が多かったので、自分の研究不足が結果に出たかなと思う。簡単なミスをした将棋もあり、もう少し力をつけて、『振り飛車』を出すなら工夫するとか、戦い方を変えるとか、そういう大きな変化が必要だと思う」と話していました。

日本将棋連盟 羽生会長「大棋士への道 さらに歩まれること期待」

藤井聡太八冠がタイトルの連続での獲得を歴代最多の「20期」に更新したことについて、日本将棋連盟の羽生善治会長は「タイトル戦20連勝、誠におめでとうございます。塗り替えるのが途方もなく難しい記録ですが、見事に達成されました。これを礎に大棋士への道のりをさらに歩まれて行くことを期待しています」というコメントを発表しました。