能登町 伝統の「あばれ祭」の神社 鳥居の修復にクラファン検討

能登半島地震では石川県能登町の伝統行事「あばれ祭」が行われる神社の鳥居も壊れました。修復費用をまかなおうと、祭りの担い手からはクラウドファンディングの活用を検討する動きが出ています。

能登町の宇出津地区にある八坂神社の「あばれ祭」は、江戸時代に始まったとされる伝統行事で、6メートルを超える高さの「キリコ」と呼ばれる数十基の灯籠と2基のみこしが威勢のいい掛け声とともにまちを練り歩きます。

みこしが担ぎ手によって、海や川、それに火の中に投げ入れられる勇壮さから、その名が付き、能登地方の各地で行われる「キリコ祭り」の始まりを告げるとされています。

今回の地震で八坂神社は、高さおよそ5メートルの鳥居が倒壊する被害を受けました。

ことしの祭りをどうするか、まだ決まっていませんが、神社の関係者など、祭りの担い手の人たちは鳥居の修復費用をまかなおうと、インターネットで広く資金を募る「クラウドファンディング」を活用できないかと考え、準備を進めています。

ただ、町内では依然、およそ4500戸で断水が続くなど、祭りの担い手の生活再建が進んでいないことから、呼びかけを始めるタイミングを検討しています。

担い手の1人の諸角浩司さん(63)は「あばれ祭があるから能登町に住むという人もいるし、祭りのために地元に帰ってくる人もいる。地域の伝統行事を守るため、全国の人に支援をお願いしたい」と話していました。

「キリコ祭り」とは

石川県能登町の宇出津地区に伝わる「あばれ祭」は、能登地方の各地に伝わる「キリコ祭り」の一つです。

キリコ祭りは、「キリコ」と呼ばれる巨大な灯籠が威勢のいい掛け声とともにまちを練り歩く伝統の祭りで、あばれ祭のほかにも、七尾市の「石崎奉燈祭」や、輪島市の「輪島大祭」など、毎年夏から秋にかけて能登地方のおよそ200か所で行われています。

始まりは江戸時代とされ、地域ごとにキリコの形や祭りの雰囲気が違うのも特徴で、「盆暮れに帰省できなくてもキリコ祭りには必ず帰る」と言われるほど、能登の人たちにとって、なくてはならない催しです。

灯籠を使った祭りが集中して行われる地域は、全国でも例がないとして、2015年には文化庁の「日本遺産」に認定されています。