秋田 倉庫にクマ入り込み 2度目の日没に わな設置も捕獲できず

6日、秋田市郊外にある運送会社の倉庫にクマが入り込んでから、2度目の日没となりました。秋田市は7日、警察や猟友会とともに倉庫にわなを設置しましたが、捕獲できないままで、周囲の警戒や監視が続いています。

6日午前11時半ごろ、秋田市御所野にある運送会社の倉庫の中で、作業をしていた男性が体長1メートルほどのクマを見つけ、警察に通報しました。

倉庫の出入り口は運搬用の資材を積み上げてふさいだということで、これまでのところけが人はいないということです。

一夜明けた7日、秋田市は、警察や猟友会とともに倉庫の中に箱わなとカメラを設置しました。

市によりますと、午後1時半ごろに動き回るクマをカメラのセンサーが捉えて撮影したということですが、その後、クマは確認されていないということです。

クマは日没になっても捕獲できず、警察が引き続き警戒にあたるとともに、市が監視を続けることにしています。

現場は、JR秋田駅から南東に7.5キロほど離れた物流センターや倉庫などが並ぶ地域で、近くには住宅地が広がっています。

秋田県内では去年、クマに襲われるなどして過去最悪となる70人がけがをしました。

クマは冬眠に入る時期ですが、県内のクマの目撃件数は、去年は1月と2月であわせて1件だったのに対して、ことしはきのうまでに16件にのぼっているということです。

近くの人「2月にクマ出たと聞いたのは初めて」

クマが入り込んだ倉庫の近くに住む60代の女性は「20年以上この地域で暮らしていますが、2月にクマが出たと聞いたのは初めてです。犬の散歩を朝と夕方にしているので、鈴を付けるなどして気をつけようと思います」と話していました。

倉庫近くの会社に勤める男性は「この時期に会社のすぐ近くにクマが出たと聞いて驚きました。社員どうしで気をつけるよう呼びかけあっていますが、残業して夜遅くに帰宅することもあるので怖いです」と話していました。

なぜ この時期に? 専門家は

秋田県内でこの時期にクマが相次いで目撃されていることについて、クマの生態に詳しい東京農工大学大学院の小池伸介 教授は「クマは基本的に冬眠するが、冬眠する穴の周辺で人が騒ぐなどして環境が悪い場合、途中で場所を変えることがあるので、その途中で目撃された可能性がある」と指摘しています。

また、秋田県内では子グマとみられる体長の比較的小さいクマが多く目撃されているということで小池教授は「子グマは冬眠中に生まれ、その後1年半ほど母グマと過ごしたあと、もう一度母グマと一緒に冬眠するが、母グマが死ぬなどしてはぐれてしまった場合に、子グマが冬眠の方法がわからずさまよっている状況も考えられる」と話していました。

そのうえで「冬眠の方法がわからないクマは食べ物を探す必要があり、去年秋に集落で柿などを食べていた場合、この時期に集落に出て雪の下に柿などが落ちていないか探すことも考えられる」として、クマを見かけたら刺激しないようゆっくり距離をとり、建物や車の中に避難してほしいと話していました。