【解説動画】米軍が親イラン武装組織へ“報復措置”45人死亡か

アメリカは日本時間の3日朝、1月にヨルダンでアメリカ軍の兵士3人が死亡した攻撃への報復措置に踏み切ったと発表しました。

それによりますと、アメリカ軍はイラクとシリアの領内で活動するイラン革命防衛隊の「コッズ部隊」や、それに関係する武装グループに対して空爆を行ったということです。

イラク政府は、この空爆で複数の民間人を含む16人が死亡したと発表したほか、シリアの人権団体は、29人が死亡したと発表。関係国からは反発の声があがっています。

「国際報道2024」油井秀樹キャスターの解説です。(2月5日放送)

※動画は4分06秒、データ放送ではご覧になれません

アメリカ 「親イラン武装組織」の拠点などを空爆

アメリカのバイデン政権は、この3日間、イランが支援する武装組織「抵抗の枢軸」に対する軍事攻撃を強めています。

まず2日には、アメリカ兵3人が死亡した報復措置として、イラクとシリアにある親イラン武装組織の拠点など85以上の標的を空爆。さらに翌3日には、イエメンにあるフーシ派の36の標的を空爆。そして、4日にもイエメンにあるフーシ派の巡航ミサイルの施設を2回空爆しました。バイデン政権は「これは始まりにすぎない」としてさらなる攻撃を行う構えを示しています。

報復攻撃の連鎖

対するフーシ派や親イラン武装組織も「報復する」としていて「報復攻撃の連鎖」が懸念されています。

現に、4日にはシリア東部でアメリカ軍が展開している拠点に対して、アメリカ軍を狙ったと見られるドローン攻撃があり、アメリカ軍と行動を共にしていたクルド人の部隊の戦闘員が6人死亡したという報道も入ってきています。

イラク政府「主権侵害だ」

イラクでは、アメリカ軍による攻撃を受けて負傷した民兵組織の戦闘員たちをスダニ首相が病院で見舞う様子が公開されました。イラク政府によりますと、攻撃を受けたのは、イラクの治安機関の所属でシーア派の民兵組織「人民動員隊」で、イランの革命防衛隊と関係が近いとされています。イラク政府は、イラクの「人民動員隊」を狙ったアメリカ軍の攻撃を「主権侵害だ」と強く非難しています。

イラクでは「わが国と周辺地域の治安が脅かされた」として、アメリカへの怒りが渦巻いています。デモに参加した人々は「アメリカは最大の悪魔だ!」と叫びアメリカ軍撤退を訴え、1つでも行動を誤れば、地域全体に戦火が広がりかねない状況です。

イラクから米軍の撤退を求める動き加速か

アメリカとイラクの間では、先月、アメリカ軍の撤退も視野に両国が協議する初の会合が開かれました。現在、イラクには2500人のアメリカ兵が駐留していますが、イラクからアメリカ軍の撤退を求める動きが加速するという見方が出ています。

中東の不安定な情勢に徐々に軍事的に関与しているバイデン政権。戦線拡大を食い止めたいという当初の目的が達成できない上に中東におけるアメリカ軍の戦略見直しも
迫られるかもしれません。