去年の実質賃金 前年比2.5%減 給与増も物価上昇に追いつかず

去年1年間の働く人1人当たりの実質賃金は前の年と比べて2.5%減少しました。現金給与の総額は増えたものの物価上昇に追いつかず、実質賃金は2年連続でマイナスとなりました。

厚生労働省は従業員5人以上の事業所3万あまりを対象に「毎月勤労統計調査」を行っていて、6日、去年1年分の速報値を公表しました。

それによりますと、基本給や残業代、ボーナスなどを合わせた働く人1人当たりの現金給与の総額は月の平均で32万9859円となり、前の年に比べて1.2%増え、3年連続でプラスになりました。

内訳では、フルタイムが43万6849円、パートタイムが10万4570円で、いずれも統計を取り始めた平成5年以降最も高くなりました。

しかし、物価の上昇率が3.8%と42年ぶりの高い水準となり、物価変動を反映した実質賃金は前の年に比べ2.5%減少しました。

実質賃金が前の年を下回るのは2年連続です。

去年12月分の速報値も公表され、現金給与の総額は前の年の同じ月と比べて1%増え、過去最長となる24か月連続のプラスになりました。

しかし、実質賃金は1.9%減少し、21か月連続のマイナスとなっています。

厚生労働省は「去年の春闘で30年ぶりの賃上げ率になったことや人手不足の影響で給与総額が引き上げられたとみられるが物価の上昇に追いついていない状態が続いている。ことしの春闘でベアの水準がどれほど引き上げられるか注目したい」としています。

林官房長官「物価高に負けない賃上げを」

林官房長官は午後の記者会見で「ことしの賃金交渉に向けては、岸田総理大臣から去年を上回る水準の賃上げを経済界に強く呼びかけ、春の労使交渉では、それに呼応する動きが広がっている。政府としても、医療、介護、障害福祉分野の報酬改定などによる公的賃上げ、労務費の転嫁に関する指針の周知徹底など、物価高に負けない賃上げを実現できるよう、しっかり取り組んでいきたい」と述べました。