石川県を代表する温泉地、七尾市の和倉温泉には旅館やホテルなどが20余りありますが、地震での被害や断水などの影響ですべてが休業しています。
多くのホテルや旅館に温泉を供給している会社では、地下の源泉から温泉をくみあげることはできているものの、それぞれの施設に送る配管などが損傷しているため、温泉が利用できなくなっているということです。
営業の再開が見通せない中、旅館の中には復旧作業にあたる人たちに部屋を貸している施設もあるということです。
七尾の和倉温泉 地震から1か月も旅館など20余 休業余儀なく
およそ1200年の歴史がある石川県を代表する有数の温泉地、七尾市の「和倉温泉」では、1月1日の地震から2月1日で1か月となる今も旅館やホテルなど20余りが休業を余儀なくされています。
営業再開目指し動き始めた旅館も
和倉温泉の旅館の中には、営業の再開を目指して動き始めた旅館もあります。
和倉温泉で明治時代から続く旅館の「おくだや」は、一部の建物の壁に亀裂が入ったり、風呂場のタイルが剥がれたりするなどの被害を受けました。
このため、現在も通常の営業を見合わせていますが、旅館を経営する奥田一博社長のもとには、宿泊したことのある人たちから「営業を続けてほしい」といったメールや電話が寄せられ、営業再開を目指すことを決めたということです。
10日ほど前からは、被害の少ない一部の部屋を復旧活動にあたる人たちにかぎり提供を始めたほか、30日は、温泉のお湯が宿の前まで通ったことが確認されました。
今後は、営業の再開を目指して宿の建て替えも検討しているということです。
奥田さんは「何度も宿泊してくれているお客さまの声が『復興したい』という思いにつながっています。どれだけかかるか分かりませんが、旅館を再開させておもてなしでお返ししたい」と話していました。
被災した従業員が避難し寝泊まりも
和倉温泉の「大観荘」は、建物に大きな亀裂ができるなどの被害があり、営業できない状態が続いています。
旅館には、地震直後から被災した従業員とその家族が避難し、2月1日で地震から1か月となる今も4人が建物でいちばん安全なロビーに寝泊まりしています。
現在、旅館では、従業員も協力して片付けを進めているということですが、建物の被害の大きさがどれぐらいか把握できず営業の再開時期の見通しも立っていません。
「大観荘」の女将の大井マ璃幸さんは、「営業の再開にどれだけの時間とお金がかかるのか分かりませんが公の力も借りながらゆっくりとでも進んでいかないといけないと思っています」と話していました。