株高 仏大手資産運用会社の投資責任者が語る日本株への期待

東京株式市場では今月、日経平均株価が一時、3万6900円台まで値上がりし、バブル期の1990年以来の高値を更新する場面もありました。日本株に投資するフランスの大手資産運用会社の投資責任者は、株高の背景にある日本企業の改革の動きに期待感を示しました。

フランスの大手資産運用会社「アムンディ」のヴァンサン・モルティエ最高投資責任者がこのほどNHKのインタビューに応じました。

この会社の日本の拠点が運用する資産の残高は、去年9月末の時点で6兆8000億円。

モルティエ氏は今月、東京市場で株価が大きく上昇したことについて、「いくつかの企業改革が実施されたことがプラスに働いている。日本でも、競争してイノベーションを起こし、テクノロジーなどの分野で市場シェアを拡大しようとする企業が増えている。これはとても重要なことだ」と述べ、日本企業の改革の動きに期待感を示しました。

そのうえで「実は何年もの間、顧客から日本のことを耳にしたことはなく、日本は“地図にも載っていない”状態だったが、去年からかなり変化している」と指摘しました。

また、「アジアの成長機会を捉えるため中国株を売って代わりに日本株を買う投資家が増えている」と述べ、経済が減速する中国の株式市場から日本の株式に資金を移す動きがあるという見方を示しました。

一方、日銀が今の金融緩和策を転換し、利上げに踏み切った場合の影響については「日銀が突然、急激な利上げをすれば市場を驚かせて株価はネガティブに動くことになるだろうが、私はそうなるとは思わない。日銀は丁寧に説明しながら緩やかな形で慎重に金利を上げていくと思うので、政策変更しても日本の株式市場にはポジティブに働くだろう」と述べました。

今後、懸念する点として、「心配なのは短期資金によってあまりに速いスピードで価格が急騰することだ」と指摘し、長期的な視点で日本株を評価する投資家を増やすことが重要だと指摘しました。

東京証券取引所によりますと、日本株の外国人保有比率はバブル期の1990年度には4.7%でしたが、2022年度には30.1%に拡大し、外国人投資家の存在感が高まっています。